第8話あだ名②
『よし、じゃあまずは美月から決めてやろう!』
『よろしくお願いします!』
最初の犠牲者は無垢な女神様。
『ん〜〜…』
腕を組みながら悩む杏果さん。変なのにならなきゃ良いんだけど…
『みーちゃん…みーちゃんでどうだ!』
相変わらずのセンスだった。
『どうだ美月?みーちゃん!』
『はい!猫ちゃんみたいで可愛らしいです!』
美月ちゃん的にはありみたいだ。
『じゃあこれからはみーちゃんだな!』
『はい!みーちゃんです!』
まぁ本人が満足ならそれでいいのかな?
『よ、よかったね美月ちゃん』
『違いますよ冬馬くん!私の事はみーちゃんって呼んでください!』
前言撤回。これは良くない。
『よかったね…み…みーちゃん』
これはちょっと呼びづらい。と言うか恥ずかしい。
当の本人は満足げな顔をしているけど…
『じゃあ次は冬馬だな!』
『私も考えます!』
乗り気な2人。それに反して半ば諦めている冬馬。
だってみーちゃんとかオタクとかのレベルだもん。
『川神…川の神様だからヌシとかいいんじゃないか?』
『流石にそれは…』
全く良くない。
『じゃあ冬馬くんの冬の文字を取ってシロくんなんてどうかな?』
『それじゃあ犬みたいなんだけど…』
『えぇ〜…可愛いじゃないですか』
『よし、じゃあヌシかシロどっちか選ばせてやろう』
僕に拒否権はないんでしょうか?
まぁこうなったら選ぶしかないんだろうなぁ〜…どっちも嫌だな〜…
どちらかと言うとというところで渋々美月ちゃんが考えてくれたシロを選んだ。
『杏果先輩にはあだ名とかないんですか?』
『ん〜?そういや無いな〜』
『でしたら考えます!』
どうやら美月ちゃんはあだ名決めにハマったみたいだ。
『私のはなんでもいいよ〜』
『じゃあこんなのはどうだ?』
さっきまで凹んでた部長が息を吹き返したみたいだ。
『なんだよオタク』
『見た目とは裏腹に運動神経と攻撃性の高さからとって強化(杏果)人間[バーサーカー]なんて』
ヒュン
部長の方向に何かが飛んでいった。
見ると部長の後ろの壁にシャープペンが刺さっている。
『オタク〜、もういっぺん言ってみそ?』
にっこり笑いながら言う杏果さんの手には次弾ボールペンが握られていた。
『ダメだよ杏果ちゃん。壁に穴があいちゃうからね』
『はーい』
優斗先輩に注意をされて杏果さんは次弾を筆箱に戻した。
『おい優斗、あれが当たったら俺に穴があくんだが?』
部長の声は優斗先輩には届かなかった。
『杏あんちゃん先輩なんてどうでしょうか!』
手をパチンと叩いて美月ちゃんが言った。
『うん、杏果ちゃんにぴったらの可愛らしいあだ名だね』
『いーんじゃないか〜』
『じゃあこれからはあんちゃん先輩です!』
こうして全員分のあだ名が決定した。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます