花も束さ

雲鈍

萌(めばえ)

苦しい苦しいと宣う君に

届けた一片の花つかさ

思いを込めた片鱗の

轍も見せずに後を追い

花弁が須らくそうあるべしと

儚く散った君の色よ


ああ花も束さ

束の間に散った彩りの数々

刹那に舞った万華鏡

その狂おしいほどの屈折の中で

幾千もの君がころころと笑う


ああ花も束さ

墓前にそっと供えよう

雨が降れば思い出す

そっと濡れた葉から滴る

その雫のこぼれ落ちたその先に

わずかに芽生えた


ああ、花も束さ

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