第3話-2 万華の暇つぶし
俺は万華を伴って、近くの喫茶店に入った。
「
とコーヒーにミルクを入れながら聞いた。
万華は、首を横にふって、
「分かれへん。
と少し困った顔をして答えた。
へー、そう言うものなのか。映画で見たあの魔法使いのマントも意思を持って仕えていたな。それと同じか?
「そうか。分かった。気を落とすな。でもな、追い打ちするようで悪いが、仙聖学園編入の件、人間界には色々なしがらみがあってだ、必要書類や入学金が必要だ。国籍、戸籍、住民票、他の高校の在籍証明書などなど、一つも無いだろう? 短時間で、それらを揃えるのは俺にはできねぇ」
と視線を落として万華に言った。
なぜ、仙聖学園に行きたいのはわからねぇ。しかし、行きたいと言う者を行かせられねぇのは心苦しい。気まずい雰囲気をかき消すためにコーヒーを飲んだ。
しかし万華は、俺の発言を押し戻すかのように掌を此方に押し出した。
「心配あらへん。ウチは、これまで数え切れん程の転生者、転移者を助けてきたんや。生まれ変わる転生ならいざ知らず、転移した転生者を素早く転移先の行政管理に入れる方法くらい、よー知っとる。ちょっと考えてみぃ、転移先でウチらの助け無しに冒険者ギルドにあっさりと登録できるわけ無いやろ。ウチら蓬莱と場末の貧乏探偵事務所とを一緒にしてもろては困りますなぁ」
と万華はドヤ顔で語った。
「何処が貧乏探偵事務所だ。心配して損した。で何故、仙聖学園なんだ? 仙がつくからか?」
「権蔵、探偵にしては詰めが甘いな。権蔵を刺した犯人は仙聖学園の生徒やで」
俺を刺した犯人は、高校生だったのか。久保田の奴、なぜ教えないだ。
「そうか。それで万華がその犯人を調べる理由はなんだ?」
「
暇つぶしかい。
しかし、犯人が言った『俺だけのものだ』の意味を知りたい所ではある。
俺は筆者の上坂京子を調べてみるか。
「俺も時間があれば、依頼者の上坂京子を調べてみよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます