第5話
それからがら空きの2両目には電車が揺れる音だけが響いていた。
固唾をのんで必死で目を背ける。
その結果ますます彼女を意識してしまう。
忙しなくスマホ画面の文字を読む。
内容は入ってこない。
ただ早く駅に着かないか願うばかりだった。
そのまま僕が降りる駅着いた。
僕は足早に電車を降りて家へ歩く。
晩秋の夜風は軽い防寒具では手も足も出ない。手を悴かませながら一人歩く。
……タッタッタ
なぜか僕の足音とは別の足音が聞こえている。きっと夜遅いし疲れているからだと言い聞かせて歩く。僕は少し駆け足になった。
……タッタッタッタッ
確実に違う。そして追いかけられている気がする。何?オバケ?ポルターガイスト?
余りの恐怖に年甲斐もなく走りだしてしまった。すると
「そーくん」
「えっ」
後ろから女性の声で名前を呼ばれた。
変わらぬ君へ 神城ハクア @haiime
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