変わらぬ君へ
神城ハクア
第1話
「はぁ~、今日も何にもない1日が終わったな…」
高校から帰る途中僕はそんな事を考える。
残暑も過ぎて木枯らしの吹く肌寒くなった毎日に半袖の制服は痛いようにしみる。
高校2年の秋一緒に帰る友達も居らずただひっそりと過ごす毎日。
もちろん彼女なんて居るはずもなく、自分は勉強するから彼女なんていらないと自分に言い聞かせていた。そのおかげで先生からの評価は上々ではあるがやっぱり喋り相手がいないのは寂しい。
そんな事を考えながら僕は今日も電車に乗り込む。
毎日補修受けているから帰るのはいつも暗くなってからだ。
「あれ?あの顔どこかで…」
電車を見回していたら見覚えのある女性が座っていた。僕はその顔に見覚えはあったがどうしても誰だか思い出すことが出来なかった。必死に思い出そうと顔を眺めているとあちらもこちらに気付いたのかこちらを見返してきた。そして驚いたような顔を一瞬見せてまたいつも通り本を読み始めた。
自分もやっていることが痴漢と同じことに気付いて何事もなかったようにカバンからスマホ取り出した。
最寄り駅に付き僕は電車を降りた。
しかし、どうしてもさっきの女性の事が頭から離れずに考えてしまう。
「滅茶苦茶綺麗な人だったな~自分とは対極をなす位に…」
「あんな人が僕の彼女だったらな~、そんな事あり得ないけど」
僕は独り言を呟きながら僕は夜道を歩く。
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