55、恋バナ!
「レイシール。ごきげんよう」
ティアナが私を見つけてやってきた。お兄様達にも挨拶をしてから、私に話しかけてくる。
「さっき、あちらでマリヤとテッドを見かけたの。一緒に会いにいかない? 皆様、少々レイシールをお借りしてもよろしいかしら?」
お兄様(と拗ね顔のジェンス)から了承を取って、ティアナが私の手を取って歩き出した。
「あなた、会場中の女の子から睨まれているじゃない。気をつけなきゃだめよ。女の嫉妬は恐ろしいんだから」
「そりゃ、気付いてたけど……」
やっぱお兄様とアルベルトの二人揃ったところに一緒にいると恨まれちゃうか。
でも、お兄様はお兄様だし、私にジェンスがいることは皆知ってるだろうから、ライバル視はされないと思うんだけどなぁ。
「そりゃあ貴女とサイタマー様が相思相愛なのは知っているけれど、嫉妬っていうのは理屈が通じないものなのよ」
わふっ。他人の口からソーシソーアイって言われると恥ずかしいな。
端から見るとやっぱそういう風に見えてるのか。
やだやだ。そういうんじゃないんだってば。
「あら、レイシール様。ティアナ様。……どうなさいました、レイシール様?お顔が真っ赤ですよ」
テッドと共に歩み寄ってきたマリヤが小首を傾げる。
「レイシールったら照れちゃったの? 普段、学園であれだけ仲睦まじくしているくせに。今さら赤くなっちゃったりして」
ティアナがにやにや笑って私の顔を覗き込んでくる。
べべべ、別に照れてないっちゅーの!
「やだ~、普段しっかりしているのに、急に可愛くなっちゃって~」
「こんなレイシール様、初めて見ました!」
あう。マリヤまでにやついている。き、君たちはいつからそんないやらしい顔をする乙女になったのかね!? まったく嘆かわしい!
「わ、私よりも、マリヤの方が、テッドとはその……ほやほやでしょ! お熱いね、ひゅーひゅー!って感じでしょ!」
「えっ……わ、私達は、幼なじみですし、今さらそれほど……」
「今までは平気だった距離にときめいたりしちゃってるんでしょぉお!?」
「なっ……」
私にずびしっ!と指摘されて、マリヤとテッドが真っ赤になった。図星だ図星!
「くふふっ……三人とも、真っ赤……」
くつくつと笑うティアナに、私はきっと彼女を睨みつけた。
「そういうティアナはどうなのよ! 意中の殿方とかいないの!?」
「そ、そうですよ! ティアナ様はどうなんですか!?」
私とマリヤに詰め寄られて、ティアナは素知らぬ顔ですいっと目を逸らした。
「さあ? どうかしら?」
「きー! すっとぼけちゃって!」
「ず、ずるいですよ!」
きゃあきゃあ騒ぐ私達は結構目立っていたようで、恥ずかしくなったのかテッドがそっと離れていった。
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