第15話 入学前の日
国立中央魔法学校の試験から1週間が経過をすると、出雲の家に一通のA4サイズの封筒が届いていた。
出雲は学校から帰宅した際にいつもは確認をしないポストを覗き込むと、そこに封筒が入っていることに気が付いた。
「A4サイズの封筒? なんだこれ?」
出雲不思議そうな顔をしながら、ポストから封筒を取り出して差出人を見た。そこに書かれていたのは国立中央魔法学校の名前であった。
「国立中央魔法学校!? 嘘でしょ!?」
試験結果かと目を見開いて封筒を見ていると開けて中を見なきゃと思い、急いで家の中に入って自室を目指して勢いよく階段を上っていく。
部屋に入った出雲は通学鞄を地面に投げ捨てると、ベットに座って封筒を凝視する。
「結果を見たいけど、怖い……落ちてたらどうしよう……」
怖いけど見たい。見たいけど見たくないといった気持ちが出雲の中に渦巻いていると、出雲は意を決して封筒を開けた。
「うぅ……開けたはいいけど怖さが増してきた……」
封筒を開けたはいいが、目を閉じてしまった出雲。しかし、確認をしないと先に進めないと理解をしているので、目を開けて結果を見ることにした。
「俺は受かっているのか……落ちているのか……」
目を開けた先の視線に入った言葉は、合格という2文字であった。その言葉を見た出雲は、やったと大声を上げて喜んだ。
「ご、合格してる! 俺が合格してる!」
出雲は合格したと何度も連呼をしながら、部屋の中を走り回っていた。
途中、出雲は机の角に右足の小指をぶつけてしまい、そのダメージを高さから涙目になっていた。
「うぎぎぎぎ……小指が……」
涙目になりながら、出雲は床に座って自身の右足の小指を掴んでいた。数分間痛みに耐えていると、床に落ちた合格通知書改めて目に入った。
「合格かー。なんか実感わかないけど、ちゃんと受かったんだな」
出雲は床に大の字になってやったと再度喜んでいる。
「あ、母さんや琴音に連絡をしなくちゃ!」
スマートフォンを手に取った出雲は、二人にメールを送った。すると、すぐに二人から返信が届いた。
「二人とも早い!? おめでとうってきた!」
楓と琴音は出雲の受験が合格したことに喜んでおり、すぐに帰るねとも付け加えられていた。
「すぐに帰ってくるんだ! 何て言われるんだろう」
楽しみだなと思いつつ、出雲は散らかった部屋を片付け始めた。
部屋を片付け始めてから30分が経過をすると、部屋に勢いよく楓と琴音が入って来た。
「やったねお兄ちゃん! 念願だった国立中央魔法学校だよ!」
「よかったわね! 志望校に入れるのは良いことよ」
琴音と楓が出雲に話しかけると、出雲は合格通知書を二人に見せた。その合格通知書を見た二人は、何か事前に買うものとかあるのかなと疑問に感じていた。
「封筒には合格通知書と、登校日しか書かれてないや。行けば分かるのかな?」
「不思議ねぇ……でも、国立で有名な学校だしちゃんとしているわよね」
「絶対そうだよ! お兄ちゃんが行く学校だもん!」
二人がそう言っていると、出雲もそうだよねと同意をした。
国立中央魔法学校にやっと行けることや、魔法騎士団に少しでも近づけたと思った出雲は、楽しみで高揚をしていた。
「もうすぐ終業式でその後に春休みだし、あっという間に入学式が来るわよ」
「そうだよね。何か出来ることとかあればいいんだけどなー」
腕を組んで出雲が悩んでいると、琴音がすることって意外とないよねと頷いていた。出雲はそうだよなと琴音に言うと、なるようになるかと笑顔になっていた。
「そうね。今は入学式まで楽しく過ごすといいわ。さ、夕食の準備をするから手伝って頂戴」
楓が出雲と琴音に準備を手伝ってと言うと、二人は分かったと言いながら楓と共に夕食の準備を始める。
夕食はカレーライスなようで、出雲と琴音は楓の指示に従って料理を作るのを進めた。
「完成! ミスらないでよかった!」
出雲がそう言っていると、琴音がお兄ちゃん間違えそうになっていたよと微笑しながら言う。
「そう? 全く気が付かなかった……」
「私がフォローしてなかったら味が変わってたかもしれないよ!」
「マジか!? ありがとう!」
出雲は危なかったと言い、琴音にありがとうと言って皿にカレーを盛り付けて行く。楓はサラダ作りに取り掛かっており、盛り付けてドレッシングをかけていた。
「これで完成ね! ちょうど良い時間になったことだし、食べましょう!」
「やったー! お腹空いてたんだよね!」
琴音が笑顔で食べようと言っていると、出雲もお腹がちょうど空いてきたなと考えていた。出雲は食卓の椅子に座ると、楓と琴音も指定の椅子に座って、目の前に置いたカレーとサラダを食べようとしていた。
「さ、食べましょう! いただきます!」
楓がいただきますというと、出雲と琴音もいただきますと言って食べ始めた。
美味しいと言いながら出雲と琴音は食べ進めていると、楓が入学式まで好きなことをしなさいと出雲に話しかけた。
「うん! ありがとう!」
「私も好きに過ごすぅ!」
琴音も好きに楽しく過ごすと言っていると、楓が宿題が終わったらねと含み笑いをしていた。
出雲はそれから国立中央魔法学校の入学式の日まで楽しく過ごしていき、終業式で友達と泣き、春休みには共に卒業をした中学校の友達と遊んで思い出を作っていた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます