第14話 試験後の日常

 家に到着をした出雲は家のチャイムを鳴らすと、玄関扉が勢いよく開いた。


「あ、危な!? 勢いよく開けないでよ!」

「お兄ちゃん遅すぎ! 試験終わってから何してたの!」


 琴音は勢いよく扉を開けて、玄関前にいた出雲の腹部に抱き着いた。琴音は楓と共に何度か通話をかけたらしいが、その全てに出雲が出なかったらしい。


「着信なんて……え!? 壊れてる!?」


 出雲は通学鞄の中に入れていたスマートフォンが壊れていることに今気が付いた。


「もしかして……」


 先ほどの金髪の男との戦闘でと小さく呟いた出雲は、スマートフォンを修理に出さないとダメかと落ち込んでいた。


「お母さんも心配してるから、早く行こう!」

「そうだね。行こう」


 琴音に先導をされる形で出雲は家の中に入っていく。

 家に入るとやっと帰ってこれたと出雲は安堵をしていた。


「やっと帰ってこれた。長かったようなあっという間だったような、不思議な感覚だな」

「試験って感覚的に長く感じるよね? 私も受験になったら大変そうだなー」


 口を尖らせて受験嫌だなと言っている琴音の姿を見た出雲は、その時は手伝うよと琴音の頭部を撫でながら言った。

 その言葉を聞いた琴音は、笑顔で絶対だよと出雲に言っていた。そんなやり取りをしながら二人はリビングに入っていく。


「出雲! 心配したわよ!」


 リビングに入ってきた出雲を見た楓は、出雲に近寄ってその体を抱きしめた。


「心配かけてごめんなさい。試験の時にスマートフォンが壊れちゃったみたいでさ」


 試験でスマートフォンが壊れたことにした出雲。楓と琴音がそんなに激しい試験だったのと驚いていた。


「筆記試験と魔法実技試験があって、魔法実技試験では戦闘をしたんだよ!」


 出雲はリビングにあるソファーに座りながら、楓と琴音に試験のことを話せる範囲だけ話していった。

 禁止とされていた部分は話さないように気を付け、その話で何時間も盛り上がっていた。


「家族と話すと安心するな。あまり心配させたくないけど、ミサさんの件があるからどうなるか分からないな」


 出雲は自室のベットに座りながら先ほどのミサとの件を思い出していた。

 羽の生えた人間など見たことや、聞いたことがない出雲はどういう人なのだろうとミサのことを考えていた。


「心の中で何度もミサさんに話しかけているけど、眠ったままなのか反応がないな」


 出雲はミサが少し寝るって言ってたけど、どれくらいなのか分からないまま過ごすハメになっていた。

 ある種の融合のような形で共存をし、自身の体を修復してもらっているので出雲は何も言えない。


「見た目的には傷一つないけど、実際はボロボロなのかな?」


 貫かれた場所を突いたり捻ったりしても何も起きないので、不思議だと感じていた。


「どのくらいで治るんだろう? ミサさんに聞いておけばよかったな」


 部屋に持ってきていたペットボトルのお茶を一口飲みながら、出雲はベットに寝転がった。試験が終わったという実感もなく、これからどうしようかと出雲は不安になっていた。


「落ちてたら嫌だな……頑張ったから良い結果になるといいなー」


 祈るような形で受かってますようにと言葉に発していた出雲は、勢いよく起き上がってお腹空いたと言いながら2階に移動をした。リビングに移動をすると、出雲は楓と琴音と話しながら夕食を食べ始める。


 出雲はその後1週間、普通の学校生活の日常を過ごしていた。

 特に何も起きることもなく、学校で友達と話したり放課後に遊んだりをして平和な日常を過ごしていた。

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