徒然綴書

Garm

未だ見ぬ世界へ -Introduction-

 気になることを聞いたら、はぐらかされた。

 はしたないんだってさ。まだ早いんだってさ。


 知れば知るほど、汚れていくのだと人は言う。

 無垢に近ければ近いほど良いのだと。

 何も知らないほうが幸せなことがあると聞く。

 現実に打ちひしがれるよりも知らない方が良いのだと。


 けれど、そんなもの、決めるのは私だ。

 後悔上等。

 知って後悔、知らず後悔、どっちにしたっておんなじだ。

 無数の扉に目もくれず、部屋の片隅三角座り。

 そんな人生、望んでない。

 どうせならその扉、全部開いてやりたい。

 腕が頭が心臓が、私がそこから動けなくなるまで。


 知を嘲ればいい。

 無垢を羨めばいい。

 私の人生は私のもので、貴方の価値観は貴方のもの。

 なら、止められてやる理由はない。

 そもそも、綺麗なままが良いとは、私は思わない。


 あいにく、書き殴ったノートのほうが好きな私だ。

 走り書きの字のほうに達成感を感じる私だ。

 だから今日も覗きにいこう。

 知らない世界の、知らない誰かを。

 そしてノートに描き記そう。

 虚像も妄念も現実も幸福も。


 未だ見ぬ世界が、いつも私を待っている。

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