【コント】短編
ハリー
スウェット上下
(二人コントです。 *:おまわりさんです)
「車を止めてっと。ちょっと、コンビニで買い物でもしようかなー」
*「おい、そこの君!」
「え、僕ですか、おまわりさん」
*「そう、君だ」
「あれっ、駐車違反でしたか、ここ?」
*「そうじゃない、君の格好だ」
「え、格好って、、ただのスウェット上下ですけど、、、」
*「そう、それ!そんな恰好で街に出ていいの?」
「良いでしょ、別に」
*「それパジャマだろ!」
「違いますよ、スウェット上下ですよ。まあ、確かにパジャマにしてる人もいるでしょうけど」
*「こんな格好で街に出てくるなんて。引きこもりかヤンキーだろ!」
「僕はどっちでもないですよ。それに別にどっちでも犯罪じゃないんだから良いじゃないですか」
*「そうだっけ?」
「そうですよ。当り前じゃないですか!」
*「でもなー、明らかに怪しい、、」
「何でですか!裸じゃないんだから良いじゃないですか」
*「そうかなー」
「そうですよ。これでも服です!」
*「そうなのかい? 着ぐるみじゃないの?」
「もう、ちょっと太ってるからって失礼な!灰色無地のスエット上下だからってねー、灰色熊の着ぐるみじゃないですよ」
*「いいや、ちょっと違うな」
「なんですか?」
*「カバだろ」
「なに言ってんですか、人の事!失礼でしょ!」
*「ああ、ごめん、ごめん、気を悪くしたら謝るよ」
「気を悪くしますよ。人の事、カバとか熊とか」
*「『熊』は言ってません!」
「そっか、それ言ったの俺か」
*「やーい、やーい!」
「何、その小学生みたいなノリ?」
*「ああ、これは失礼。ついつい」
「ついつい、じゃないですよ。で、もういいですか!」
*「何が?」
「この職務質問」
*「え、別に私は君の職は聞いてないよ?」
「そうですけど。こういうの職質っていうんじゃないですか?」
*「さー、どうだろ?」
「じゃあ、何なんですか?」
*「君の格好を聞いただけだよ」
「実際はそうですけど。でも、『こいつ、怪しいな?』とか、思って聞いたんじゃないんですか?」
*「あれっ、君って怪しいやつなの?」
「怪しくないですよ。じゃあ、一体、何のために声を掛けたんですか?」
*「いえね、『変な奴がいるなー』って、思って」
「その『変な奴』ってのが、『怪しい奴』に繋がるんじゃないですか!」
*「それだ!」
「『それだ!』じゃないですよ。なんで僕がおまわりさんの行動のフォローをしないといけないんですか」
*「いやいや、捜査の助力に感謝します」
「もう、捜査なんて物騒な。で、もういいですか?」
*「そうだねー、歩道は良いとして、、、で、君、これからどうするの?」
「そこのコンビニで買い物しようかと思ってるんですけど」
*「え!その格好で?」
「いいじゃないですか、別に」
*「いいのかなー?」
「いいんです!」
*「でもコンビニの店員さんがびっくりしちゃうんじゃない? 一緒に付いて行ってあげようか?」
「おまわりさんと一緒に入った方が、よっぽどびっくりされますよ!『この人、連行されてる途中なんだー!逮捕の前に最後のたばこでも買うのかなー。怖!』って」
*「ほおら、びっくりされるでしょ!」
「だから、二人で入るとですよ!一人なら大丈夫です!」
*「じゃあさ、私はコンビニに入らないけど、入り口で見ててあげるよ」
「それじゃあ、逮捕した犯人が逃げないように見張ってるみたいじゃないですか!同じですよ!コンビニの店員がビビりますよ!」
*「そうかなー?」
「そうです!」
*「でもさ、その格好で電車やバスに乗れる?」
「乗れますよー、さすがにちょっと恥ずかしいけど、、」
*「ほらー」
「『ほらー』じゃないですよ。別に法律違反じゃないです」
*「そうなの?」
「そうですよ!」
*「恥ずかしいなら一緒に乗ってあげようか?」
「結構ですよ!それこそ現行犯逮捕で連行されてるみたいじゃないですかー!」
*「そうかなー」
「そうですよ!」
*「でも、便利なんだね、その服」
「でしょ、分かってもらえました?」
*「うん。じゃあ、僕も1個、貰おうかな」
「『貰おうかな』って、別に僕はこの服の製造販売業者じゃないですよ!」
*「そうなの?」
「そうですよ、こんなのその辺の服屋でいくらでも買えますから」
*「ふーん」
「じゃあ、もういいですか?僕もいつまでも相手してられないですよー」
*「あー、君ねぇ。あの車止めてから30分経ったから駐車違反ね」
「何だよそれ! もういいわ!」
*「ありがとうございましたー」
「ありがとうございましたー」
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