第6話
父を殺せない。母に願う。母を殺せない。僕に願う。僕を殺せない。父に願う。僕を。孤島の文化圏に父が不在する。殺されるのはいつも僕。街の象徴だ。箱の中には猫が不在する。何が起ころうとも誰も見ない。その手で起きた事。指令ではない。その手で起きた事。父への返答として。畏れたその先として。母の本質を捉えないが為に。海を見つめて廃城を見下ろす。その中に埋められた空虚の貝殻。博物館の。或いはイタリアの。死人たち。箱の中には猫が。収容所には神が。全てが不在する。
seq2 (…)風景は?彼は風景を歯牙にもかけなかった。(…)人類は?存在しなかった。思考は?水の中の石のように沈んでいった。莫大な、きらめく過去は?ひからび、すり切れ、もろく、もろくて半透明な鱗が砂浜の上に打ち棄てられていた。」――(中)p56※ロレンスの文中引用
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