第28話Light feelings

亜星は、光の事が分からなくなった。


あれから。光とはセックスをしていない。


理由は、ただ一つ。光からは誘って来ないからだ。


物足りなさの原因はそこにある。


光は、甘えて来ないのだ。


亜星は、サッカー部のマネージャーの前田由真とセックスした。


由真は甘え上手で、亜星の彼女になっても良いかと聞いてくる。


亜星の家の自室でセックスした後、腕枕をせがんでくる。


そんな、由真が可愛いと亜星は思った。


亜星と由真が付き合ってる事はすぐに同級生達の噂になった。


しかし、光は何も聞いて来ない。


亜星はイライラし始めた。


光とは勉強は続けている。


「お前って嫉妬とかしないの?」


光の家の自室で亜星は聞いた。


「嫉妬?何の事?」


亜星は、深いため息をついた。


「もう、お前とは勉強しない。」


「そう…。」


表情を変えずに光は答えた。


光と亜星は、屋上でも会わなくなった。


そんな時に、転校生が光のクラスに来た。


新田次郎。


大男だった。光は熊みたいだと思った。


光は、昼休み屋上で寝転がる習慣は変わってない。


次郎が、屋上に現れた。


光を小さな目で見ながら離れた場所に腰を下ろした。


「俺、学校、苦手なんですよ。」


次郎が光を見ずに敬語で呟いた。


「そうなんだ。わたしは、学校好きだよ。」


「そうなんですか。羨ましいです。」


次郎は光を見て言った。


「たぶん、明日から学校来ないと思います。」


「そう…でも、わたしは屋上にいるからいつでも来なよ。」


ありがとうございますと次郎は言って黙ってしまった。


一週間、次郎は学校に来なかった。


光は、屋上で寝っ転がっていた。


そこに、長田清と仲間が来た。


清はこの学校で唯一グレてるヤンキーだ。


「おい!上野、高良に振られたらしいな?」


清はいやらしい顔で光に聞いてきた。


清は仲間に目配せして光の体を抑えつけた。


「気持ち良くしてやるよ。」


と清はズボンを脱ぎ始めた。


しかし、清は、吹っ飛んだ。


「いて!」


次郎が清にタックルしたのだ。


他の仲間は次郎を見て逃げ出してしまった。


清は、パンツまで脱げていた。そしてそのまま屋上から出て行った。


光は、表情を変えずに次郎にありがとうと言った。


次郎は、眠たそうな顔して腰を抜かした。


光は、次郎に抱き付いた。


「本当は怖かった。」


と言って涙を流した。


それから、光は次郎に恋をした。


次郎は、光に会うために学校に来るようになった。


周りからは美女と野獣だと揶揄されたが二人とも気にしなかった。


「ねえ、そろそろ敬語止めたら?」


光は、屋上でゴロゴロしている次郎に言った。


「長年の癖なんで。」


と次郎は弁解した。


次郎は、光に手を出さない。


光の方がじれったくなっている。


思い切って光から次郎にキスしたが次郎は


「どうしたんですか?」


と冷静に聞いてきた。


「嬉しくないの?」


「何がですか?」


こりゃダメだと光は思ったが温かい気持ちになった。

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