バルーン・イン・ザ・ターフ
アほリ
1#シンガリの牝馬
がしゃん!!
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
≪あーーーっと!!スプライト出遅れたーーーーー!!≫
牝馬のスプライトは焦った。
「またかよ!!何でゲートの中でいつもボケーッとしてるんだよ。
俺が何度稽古つけても同じことしてるじゃん?!
こんなんじゃ、またゲート審査させられるぞ!!」
何時もレースではお手馬になっている、馬上の騎手が、スプライトに叱咤した。
この競馬のレースでのオッズは最低人気。
いや、毎度最低人気のスプライトは騎手の言葉には馬耳東風。
スプライトは、早く前方の馬群に追い付きたい感情で頭がいっぱいだ。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
スプライトは、走れども走れども走れども走れども、どうしてもどうしても前方の馬群に追い付くどころか呑まれる事が出来なかった。
「勝てない・・・勝てない・・・
これじゃ、只の黙阿弥よ?!」
スプライトは半ベソをかきながら、コーナーを駆け抜けた。
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド!!!!!!!!!
「ひえええーーーー!!どんどん離されていく!!もうどん尻よぉぉぉーーー!!」
ドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドドド・・・・ドドドドドドドドドドドドドドド・・・・・・・・・・・
離されて過ぎて、前方の他馬の蹄音が遠くなっていく。
「もうだめだわ・・・私、やっぱり競走馬に向いてないわ・・・
ママ・・・売られていったママ・・・
やっぱり私はママの跡継ぎに出来ずに、仲間が意地悪して囃し立てて言ってたように、コンビーフの材料にされるんだわ・・・
ママ、ごめんなさい・・・
こんな能力の無い娘で産まれ・・・」
絶望にうちひしがれたスプライトは、悔し涙で段々視界から見えなくなっていく前方の他馬を見詰めながら呟いた。
その時だった。
ふうわり・・・
「あれ?これは・・・?」
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