コンビニに人がいると誰が言った
次流 鈴奴
プロローグ
プロローグ:きっと僕は気まぐれなのだろう。
これを何と例えるのが正解なのだろうか、特別幸せでも、特段不幸なわけでもない。でも心のどこかで、この人生に、インフラに、環境に、少しずつの不満を持っている。強いて、どうしてもと、なくなりかけのケチャップのようにひねり出すなら、“飽き”という言葉がお誂え向きと言えるかもしれない。
それは、なぜか? 僕は、YOULOOSEの画面を手に持ちながら、ベッドに大の字を書くように仰向けになる。
大学生活は順調だった。それまではまぁ楽しかった気がする。だとすれば仕事? あの時期は大変だった。でももう今は行く必要もない。気まぐれすぎなのだろうか? だとすれば生きていく事自体が僕には向いていないのかもしれない。
まぁ、今は祖父が医者で一儲けしてくれたおかげで、家族解散の危機はない。
僕は、興が冷めて、ゲーム機の電源を切った。ネットサフィンでもしようかと、3面モニターとにらめっこを始める。14時にもなってこんな暗い部屋は近所じゃあうちくらいだろう。と言ってもカーテンを閉めてるんだから当たり前なんだけど。
「
「勝手には、」
そんな僕だって、別に家族が嫌いなわけでもないんだ、少しくらい申し訳無さを感じてる。ちょうど開いた求人サイトをタスクバーに隠す。声の主は、祖父だ。僕はこの人を尊敬しているし、迷惑をかけたくない。僕は不意に口から漏れる、言葉をそっとしまった。
「どうしたの?」
開いた戸の向こうには頬を緩めた祖父が立っている。
「和哉、朗報だ!」
「なに、なに」
祖父がそっと差し出したスマホの画面にはコンビニが写っていた。
「私のつてでな、このコンビニで少しの間でも面倒を見てもらいなさい」
じいちゃん!
……といったところで、今面接に来ている。
履歴書を目で追いながら、質問ももう後半だ。
「じゃぁ君なんで、会社辞めちゃったの?」
人の良さそうな白髪のおじさんが僕に聞いた。
「社長の顔面にコーヒーぶちまけたからです!」
――|“適当すぎやしないか、設定“ “法的な観点からそんなことでは退職になるはずがない“そんなリアリティーあふれるような作品ほかで見てくれ。
あぁ、そうとも、お気づきの通り。これは、冒頭で醸し出されたシリアスな感じなんかこの先微塵も感じないようなアホなコメディ(完結するかもわからない)なのだから。
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