こなこなきらきら
あるいは脳内を垂れ流しになったアドレナリンの作用によるものか、俺は身じろぎもせず眼前に散らばる光のかけらを愛でていた。明け方の薄青い景色の中でキラキラキラキラたいそう美しく、俺はしんとした気持ちになる。
それらの正体は粉砕したフロントガラスの粒々の欠片で、いくつかは俺の流したルビー色した血溜まりに浸っている。大破した愛車のボンネットに上半身を預けた俺はただ目に映るものを愛しむばかり、痛くも寒くも苦しくもなく、ついでに指一本も動かせない。
このまま死ぬのだろうという漠とした確信があるが、目に映る全てから惹起される平たい多幸感に包まれた俺には、もはや恐怖を抱く能力は失われていたのだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます