0章 9.禁断
<魔城>
「よく戻った」
「はい、魔王様」
玉座に座って大都市や平野などを見ていたときに現れた。女1人、私の配下のサモンだ。
魔人の進化系は主に3種あり、『多重魔人』、女限定の『魔女』、男限定の『獣魔人』、突然変異で生まれた新しい魔人が俺、『魔王』。『多重魔人』は、魔法を複数一度に使える魔人。『魔女』は、あらゆる魔法を使える魔人。『獣魔人』は、魔法はあまり使えないが、接近戦、肉体での攻撃が圧倒的に強い魔人だ。今現在、3人いる。1人目は多重魔人の『ソル』、主に氷、炎、空間魔法の3つを一度に使い、操ることができる。2人目は魔女の『ユーリア』、あらゆる魔法を使い新たな魔法を作ることをしている。最後の3人目は多重魔人の『ザク』、主に
「魔王様、どうかされましたか?」
首を傾げ、サモンは言う。俺は「なぜこんなことを考えていたのだ」と思いつつ「すまない」と言い姿勢を正し、話を再開する。
「まず4大魔人が殺されたことだ。魔法で過去を見ようと思ったがいろいろとあったからな。何があった」
「魔石でできた屋敷が男1人によって神石に変えられました」
「なんだと?」
魔石は俺が造った特別な魔法石。俺の配下、魔人以外にはまず見えない、その魔石を人が見たということになる、神石にまで変えるとは―――
「非常事態だ。少しすることが増えた、すまないがもう行かせてもらう」
「かしこまりました。魔王様」
サモンは転移魔法で消えた。
――これは、世界の終焉の可能性が出てきたな―――
俺は、可能性を少しでも減らすため、研究を始めた。
*
「俺は~何をすれば~いいんだよ~」
「あの……不快な歌を歌うのをやめてください……」
「…え!?別に歌詞は悪いことを言ってないと思うけど?」
ただ「俺は何をすればいいのか!」という気持ちを歌詞にして3分くらい歌っていただけだけど―――
「言いずらいんですが―――音がぐちゃぐちゃというか、なんというか」
アンカは何かを裏に隠しているかのように落ち着かない。たぶん俺のことを音痴と言いたいけど癒えないんだろう。ああ、つ、つらい……。
「俺が音痴……毎回休憩時間に歌ってたけど、みんなにどう思われてたんだろうな~」
晴れやかな顔でポジティブ精神を維持した。アンカは、俺の様子を見た瞬間何度も謝り始める。
「すみません!余計なことを言いましたよね!ほんとにすみません!」
「大丈夫だって!ポジティブ大事!」
このままだと話が進みそうにないと思い「それより!」と言ってアンカの謝罪を切り上げ話を無理やり再開する。
「俺は…いや、俺たちは今から何をするんだ?ダンジョンとかの攻略とか?」
「いやいや!まだギルドで冒険者カードをもらってませんよ!?まずダーリアに向かったほうが良いと思います!」
そうだった……クエストやダンジョンなんかもギルドに行かないと何も始まらない。これは魔法を使えれば簡単に行ける!
確信してガッツポーズ。すぐに実行に移そうと想像する、が―――
「あ~!!!!!痛い!痛い!!なんだなんだ!」
「どうしましたロクさん!!」
魔法を使おうと想像した瞬間猛烈な頭痛とめまいが襲い掛かった。めまいのせいで地面に倒れこみ、頭痛で神経が狂ったのか、全身の感覚がなくなった。こ、これは、魔法の、制限や、限界が、きてしまった、のかもしれ、ない―――
「あ、アンカ……何が起こったか…分かる、か?頭痛、と、めまい、あとあんまり、考えれない」
「魔法診査を行います!少し待ってください」
頭の中は真っ白、返事もできないまま痛みに耐えた。アンカの瞳に何かの紋章が赤く浮かび上がる。
「分かりました。……ロクさん…禁断魔法とか失われた魔法とか使いましたか?」
少し頭痛がおさまってきて俺は思考を再開する。特に禁断とか神話の魔法とかじゃないと思うけど、転移魔法って……ファンタジー世界で転移魔法とか普通じゃないの……?また神のイタズラだ……。一気に沈んだ気分に変わりため息をつく。
「転移魔法を使おうとしたんだけど……」
「それですよ!!!転移魔法は世界の理を壊すことになりますよ!?」
焦った表情をし、話を続ける。
「転移は一瞬ですが世界を移動させるんです。世界を移動させることは決してあってはいけなくて、移動させた場合、魔人が生まれてしまったり、空気中の魔力が大幅に減ってしまいます。でも、この世界は転移を認めない、だからそんなことが起きないんです」
つまり、転移は禁断魔法であり、災厄をもたらす魔法でもある、ということか。意外と難しいな。
体の感覚が戻ったことを確認してゆっくりと立ち上がる。
「よし、復活!これからは転移魔法を使わないけどさ―――」
疑問に思ったことがあった。転移魔法はこの世界が認めない魔法。しかし転移魔法を使ってしまった場合生まれる『魔人』。アニメでよくあるとは言えないが聞いたことはある。
「あのさ、『魔人』っていったい何なんだ?」
「し、知らないんですか!?」
世界の終わりを1人だけ知ったかのような表情を浮かばせる。そんなに驚くことなのか?と思っているとアンカは突然歩き出し。
「ダーリアに向かいながら話しますね!さすがにここにずっといるとダーリアに一生着きそうにないので……」
アンカは苦笑して歩いて行く。俺はアンカに置いて行かれそうになりすぐに追いかけて行った。
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