第10話 ありがちな前世の記憶? 09
「では、ライラとクロウドと同じ、ライトニングの加護を授けましょう」
咳払いをして己に注目を集めたアクアエリオスがそう宣言すると、神殿に眩い光が満ちた。フラッシュのように輝く光が収まると、そこには何故か上半身が裸の、父──クロウドによく似た金髪金眼の男性が降り立った。
「どーもぉ! お呼ばれしましたライトニングっス!」
うん、父に似ているのは見た目だけだった。中身別物だコレ。
「おっと、な〜んか失礼なコト考えてません? オレ、れっきとした天使なんスけど?」
「し、失礼いたしました、ライトニング様」
心を覗かれたのか、ぐいと顔を覗き込まれたため、びっくりして思わず顔を伏せてしまう。
美形に戸惑った、というよりピカピカ光るライトニングがフラッシュのようで、直接見てしまった白さが瞬いて、目が沁みた。
「ちょっとぉ! ライトニングちゃん!」
「サラちゃんが眩しくて困ってるじゃなぁい!」とエーテルコラが怒っている…が、そのエーテルコラの頭をまた叩く音がしていた。
「お前は今何か言える立場じゃないんですよバカ。学びなさいバカ。」
「バカを語尾みたく言わないで!?」
「…まるで夫婦漫才じゃなぁ──」
「「なんですって!?」」
待ってください、あの、本当に話が進まなくなるんです。いい加減にしてもらえませんか、神様。
心の声が漏れたのだろうか、ライトニングが笑ったような気配がした。
「もう、顔あげても大丈夫っスよ、”アリス”」
え──、という声は、声にならないまま神殿に溶けていった。
まるで父のような、優しい表情のライトニングが、私の頭を撫ぜた。
「”ディディ”、”ワイズ”に続いて、”アリス”。君に、オレの加護を与えるっス。」
「神に愛されし”愛子アリス”、キミに最上の加護を。キミがこの先どんな選択をしようと、オレだけは絶対に側にいるっス。」
ふわり、と笑ったライトニングの顔を、私は一生忘れないだろう。
まるで父母が初めて我が子を目にした時のような、慈愛に満ちたその顔を。
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