第16話 大好きな私と別れたいの?

 本日フォロワー2600人突破しました。

 いつも読んで頂きありがとうございます。

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 チャイムが鳴り、先生が教室に入ってきた。


「はい! 席に着いて! チャイム鳴ってますよ」


 うちの担任は、とにかく時間に厳しい。以前チャイムが鳴り終わったって数秒後に教室に入ってきたクラスメイトがいたが、遅刻扱いになった。あれはちょっと可愛そうだったな。

 もしかすると、チャイムが鳴ったときに教室に入っても遅刻扱いになるかもしれないな。


 先生の名前は、中澤由美子なかざわゆみこ。年齢は、多分30代? だと思う。20代と言っても分からないと思うくらいに見た目は若々しいが……ただキツイ性格? をしているので、厳しい先生というイメージがついている。それでも一部の男子生徒には、人気がある。叱られたいそうだ。誰かに叱られたいって気持ちはわからないな。Mなのかな?


「もう時間かよ」


「たけ早く戻らないと」


「おう、じゃあな」


 クラスメイト達は一斉に移動を始めて、自分の席に戻った。

 ざわざわとしていたがすぐにシーンとなった。


「おはようございます。今日は月曜日だからといってダラダラしないで、しっかり授業を受けてください」


 普段なら憂鬱な月曜日だけど、昨日はぐっすり寝れたので俺は結構スッキリしている。

 周りを見ると、月曜日というのもあって、眠そうな顔の人が多い。


「そういえば、菊池さん? 頼んでた作業はやってくれましたか?」


「えっと……すみません。まだ出来てないです」


 案の定だな。俺はやらないと言ったぞ。彩花は俺をちらちら見ているが、特に気にせず、そのまま視線を送り続けた。悪いことはしてない。目をそらしたら俺が悪いと思っているみたいな感じになりそうなので、彩花への視線を外さない。


「期限は今日まででしたよね……水曜日までには、終わらしておいてください」


「はい……分かりました……」


「菊池さん珍しいね」

「どうしたんだろう? 体調でも良くないのかな?」

「たまには失敗もあるよね」


 周りからは彩花を心配する声が聞こえてきた。


「静かに。菊池さん、大変なのは分かりますが、宜しくお願いします。じゃあ、朝礼は以上です」


 * * *


 午前中の授業が終わり、お昼の時間になった。

 どうするんだろう? 一緒に食べるのかな? それとも話すだけなんかな?


「昇、行こうか」


「分かった」


 俺は、彩花の後ろに着いていった。少し歩き、見覚えがある校舎裏に着いた。

 普段、この場所は、誰も来ない。誰か来るとしたら掃除の時間くらいだろう。

 ちなみにここは、彩花と工藤が熱いキスをしていた場所だ。

 今度は誰もいないよな。俺は周りを見渡したが、特に誰もいなさそうだ。


「ねぇ! なんで朝早く来てやってくれなかったの? 中澤に怒られちゃったじゃない! これで私の評価が下がったらどうしてくれるの?」


「先週電話でやらないって言ったよな? それは委員長の彩花がやるべきことだろ?」


「うるさいわね。私は忙しいのよ。水曜日までにって言われたから、今日中にやっておいてね!」


 忙しいってどうせ浮気だろ。


「だから、やらないって。俺が彩花の仕事を全部やってるのおかしいだろ。今までずっとやってきてたけど、限界だ」


「なによ! 今までは嫌な顔せずやってくれたのに!」


「おかしいことに気付いたんだ」


「おかしく無いわよ。あんたみたいな優しいだけが取り柄みたいなやつと付き合って上げてるんだから、私のために仕事をやってくれるのは当然でしょ。それとも大好きな私と別れたいの?」


 世界の中心は自分だと勘違いしてないか? こんなに言われて、彩花のために仕事したいって思うわけが無いよな。それと、大好きな私と別れたいの? か……

 付き合い始めは、恥ずかしいけど、好意を口に出して伝えていた。好きだ。とか大好きだとか。

 両親を見てて、口に出さないとって思っていた。


「……」


 以前も同じように「別れるから!」と彩花に言われたことがある。その時、俺は情けないことにおどおどして、「別れたくない」「頑張るからそんなこと言わないで」と焦ってしまったことがある。でも今は……


「で、どうなのよ。私と別れたくないんでしょ」


 彩花を見ると、俺が別れたくないと言うと思っているみたいで、口元をニヤリとしている。


 はぁ〜。なんかもうお前と工藤の浮気の証拠とかどうでも良くなってきたな。お前を泳がしてもっと証拠をって思ったけど。考えている時間がなんか無駄だなって……まぁ一応動画はあるから別にいいか。好きの反対は無関心って正しいと思った。


 じゃあ、ここが俺とお前の分岐点だな。


「俺達別れようか」


 目を見て、はっきり言った。今度はおどおどしていない。冷静に別れを告げた。


「え……」


 俺が出した答えを聞いて、口を開けて驚いている。思っていた答えと違かったからだろう。


「今までありがとうな。楽しいときもあったよ」


「ちょっと、なんでよ! 私のこと好きなんでしょ! わ、分かった。怒ってるんでしょ? 最近あんまり遊べて無かったから。じゃあ、今度の仕事をしてくれたら、遊んであげる。それなら良いでしょ」


 仕事をやってくれるから、遊んでやろう。ご褒美をあげようってか。俺はペットかなにかか? 

 それは傲慢過ぎる考えだな。


「なぁ俺って、彩花のなんなんだ? 委員長の仕事を全てやってくれる便利なやつか? それともテストで出そうな範囲を事前に教えてくれる便利なやつか? それとも、頼んだらなんでも買ってくれる財布かなにかか?」


「……」


「どうなんだ?」


「あの……それは……」


「答えられないってことは、彩花の中の俺はそんなもんだったってことだな」


「……」


「それじゃあ」


 なにも言わない彩花を置いて、俺は校舎に向かった。

 こうして1年以上付き合っていた彼女と別れた。

 思っていたよりも、あっけない別れだった。


 そして浮気のことは話さなかった。それが今後どう影響してくるかは分からない。

 面倒なことが起きないことを祈りながら教室に戻った。


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 ここまで読んで頂きありがとうございます。


 紆余曲折ありましたが、ようやく彩花と別れました。

 ここから彩花は落ちていくことになるでしょう……


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 改定

 2021/03/25 三点リーダーに変更

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