第10話 ちょっと相談に

 見つかったか……


 心の中で男に正体がバレたのを確信したその時!


「おい、お前達! こんな夜遅くになにやってるんだ!」


 厳つい声が聞こえてきた。


 今動くとこっちもバレるので体は動かさずに、声がする方に視線を向けてみると、ベンチの近くには警察官がいた。体は鍛えているみたいで、服の上からでも筋肉が凄いことが分かる。さらに俺はじっとしながら、視線を上に上げて顔を見てみると、声だけではなく顔も厳つい感じだった。


 この人は本当に警察官なのか? あっち系の人って言われたほうが信じるぞ。というか、この顔どこかで見たことがあるような顔なんだよな……


 思い出せない……まぁいいか。

 でも、俺達にとっては救世主だ。

 さっちゃんを見ると、ほっとしているみたいだ。


(大丈夫?)


(うん。うん。びっくりして動けなかった。ごめん……)


 びっくりしたポーズをした後にしょんぼりした顔で謝ってきた。


(こっちこそ、巻き込んでごめんね)


 手を合わせて謝った。

 言葉はうまく伝わってないかもだけど、謝っていることは伝わったみたいだ。


 とりあえず、俺達の方は一安心だ。


 公園の近くに交番があるので、そこの警察官がこの辺りを巡回していたみたいだ。俺も忘れてたけど、彩花達も忘れてたみたいだな。というか夜遅くに公園でイチャイチャするのリスク有りすぎだったな。こっそりここにいる俺達もだが。


「こっちに来なさい」


「いえ、私達は、すぐに帰りますから。ちょっと彼に相談事があって遅くなってしまったんです」


 まぁ、近づきたくは無いだろうな。


「そうそう。ちょっと相談にのってたらこんな時間になっちゃって。ちょうど、彼女を家まで送ろうとしてたんですよ」


 彼女って言ってるけど、この男は俺と彩花が付き合ってるの知ってるのかな? まぁでも知ってる可能性の方が高そうだよな。学校という小さなコミュニティーだもんな。誰かに聞けばすぐ分かることだ。俺と彩花が付き合っているというのはクラスメイトなら誰でも知っていたはずだしな。知ってたとすると、この男もどうしようもないな。

 男は俺から見てもイケメンだと思う。こいつにも彼女はいるんじゃないか?


「まぁ、なんでも良いけど、そういうわけにはいかない。まずは名前と高校名を教えなさい」


 警察官的には理由なんてどうでもいいみたいだ。夜遅くに公園にいたってことが問題ってことだな。


「「……」」


 二人は黙って、下を向いてしまった。


「うん? 黙ってないで、答えなさい。まずは君から」


 警察官は、男の方を向いて、名前と高校を言うのを促している。


「はい……俺は、工藤翔吾くどうしょうごです。宮都みやと高校3年です……」


 工藤ね。聞いたこと無い名前だな。3年生だし分からなくて当然か。

 覚えておこう。


「分かった。じゃあ、君は?」


「私は、菊池彩花、同じ高校の2年生です」


「菊池さんね」


 警察官は、クリップボードを片手に持って何かを書いているようだ。

 その後、次々と二人に質問をしていった。


 なにかあった時のために色々聞いているんだと思う。


「君たちはまだ高校生だ。未成年ということだ。ということは親に支えてもらって生きていということでもある。そんな君達になにかあったらどうする! 親御さんに心配掛けてどうする! 高校生にもなると親に隠れてなにかしたくなるのも分かる。分かるが、これをしたらどうなるか? あれをしたらどうなるか? といった想像力が君たちには足りてない。これからなにかするときにまずは一呼吸置いて考えて欲しい」


「「はい……」」


「それに、最近この辺りでサラリーマンが襲われる事件が発生している。夜遅くというのは、人通りが少ないから危険なんだ。だから、これからは良く考えて行動しなさい!」


「「はい、すいませんでした」」


 話は終わったみたいだ。今回は、初めてということで注意だけという感じ終わったみたいだ。


「それじゃあ、気をつけて帰るんだぞ」


 警察官は、次の見回り場所に向かっていった。


「じゃあ、帰りましょ……っか」


「クソッが!」


 男は、地面に落ちている石を蹴った。


 コロン、コロン。


「あの警官の説教たらたらたらとうるさかったな。もう黙ってろって感じだったわ。彩花もそう思うだろう?」


「……えぇ」


 おいおい、あいつまじか。あれだけ、警察官の方に色々と説教された感想がそれかよ。あの説教は、俺も少し耳が痛い話だった。今では自分で家事もするようになったが、1人暮らしをする前は、親に任せっきりだった。いなくなって分かる。ありがたさ。だよな。今度あったら感謝だな。


「あっ、ごめん。ごめん。ちょっとイライラしちゃって……」


 というかもしかして、この男も普段は猫を被ってるのかもしれない。


「……えぇ、そう。そうよね。イライラしちゃうことあるよね」


 工藤の変化に驚いているみたいだが、彩花は見て見ぬ振りをするみたいだ。


「俺がこんな時間に誘ったのが良くなかった! まじでごめん!」


「うんん」


「じゃあ、帰ろっか。送ってくよ」


「ありがとう」


 工藤の豹変には驚くな。テレビとかで見るDV夫みたいな感じがする。

 そして今の彩花は、俺の立場と似ている感じがする。


 まぁ、俺には関係ない話だな。


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 ここまで読んで頂きありがとうございます。


 警察官が近くにいるとびっくりしますよね。特に悪い事してないけど笑

 そういう意味では色んな抑止力になっているのかもですね。


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 改定

 2021/03/21 文章表現変更

 2021/03/25 三点リーダーに変更

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