第9話 虚しくなってきた
フォロワー1000人突破ありがとうございます。
文章で表現する難しさを改めて実感してます。
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俺達は木の後に隠れている。ベンチの後ろには木が沢山あるので、ここは隠れやすそうだ。
今いる場所からなら、ベンチ近くに外灯があるので、彩花と男のことは見える。
「さっちゃん、あいつらにバレそうになったら、逃げていいからね」
「うん、分かったけど……昇くんもだからね」
「おっけ〜。よし、じゃあ、俺は、あっちの木に行くよ」
俺とさっちゃんは、別々の木の後ろに隠れることにした。
ここからは喋ったら確実にバレる。なのでさっちゃんとの会話はジェスチャーだ。
(声を出さないようにね)
口に人差し指をを当てた。
(分かった)
さっちゃんはうなずいた。
とりあえず、伝わったみたいだ。
俺達は木の後ろに隠れてこっそりと、彩花達の状況を伺っている。
スマホの準備っと。
「なぁ彩花、キスしよっか」
「うん……」
この彩花は……猫被ってるな。
あの頃の俺は、この猫を被った彩花が好きだったんだな。
一般的に見れば、彩花は美人だ。そしてクラスで一番美人と言っても良いと思う。
付き合った当初は、クラスメイトに羨ましがられたし、一部のやつには妬まれてたと思う。それでも大好きな彩花と付き合えて幸せだった。
最初は、一緒に学校に行けただけでも嬉しかったし、手を繋いでデートした時は楽しかった。クラス委員の仕事を手伝った時は、ほっぺにキスされて、心臓が止まるほど嬉しかった。
考えると俺ってやつはほんと単純なやつだな。
って、始まるか?
(男は彩花の肩に手を置いた。お互いの顔を見つめ合っている。彩花は目を瞑った。そして男は、彩花の唇を奪った。最初はくっついては離れて、くっついては離れての繰り返しだったが、今は唇と唇がくっついたまま、離れない。)
実況風にしてみた。ふざけて実況しているが、抜かりなくスマホで動画を撮っている。
(おっと〜、男のほうが攻めだした。ん? 彩花の方は……若干引いてるか?)
勢いが凄いな。
ふと、さっちゃんの方を見ると、手で顔を隠しているが、隙間から見ている。
俺が見ているのを気付いたみたいで、思い出したかのように、スマホを構えて撮り始めた。
(さっちゃん、無理して撮らなくてもいいよ)
手を横に振って、声に出さないで言ってみる。
(うん、うん。心配しなくても、いい動画取るから、任せて!)
えっへん、って感じでどこか得意げな表情になっていた。
おっけ〜。伝わってないな。
さっちゃんとは少し距離があるので、上手く伝わらないかぁ。
冷静に考えるとこの状況おもろすぎるな。
浮気中の彼女を撮影する今カレと幼馴染。
やっぱり、怒り、嫉妬、屈辱といった感情が沸かない。美人とイケメンがキスしている。
ただそれだけだ。
この間、俺とさっちゃんは、二人を撮影し続けた。
* * *
なんか、もう良いかな。
(そろそろ、帰る?)
親指で公園の外を指差した。
(うん、そうだね。)
なんだか最初は乗り気だったが、虚しくなってきたな。
俺達は、周りに注意しながら、ゆっくりと、ゆっくりと後ずさりしながら公園の外を目指す。
さっちゃんがいる場所のほうが少しだけ、公園の外に近い。
注意しながら歩き、ベンチから離れられた。
とりあえず、安心かな?
カラン、カラン、カラン。
!?
さっちゃんが、音にびっくりして、固まってしまっている。
足元には空き缶が何個も転がっていたみたいだ。
誰だよ。ここに空き缶をポイ捨てしたやつは!
「おい、誰かいるのか!」
男がベンチ後ろの木々に向かって、声を掛けてきた。
「え、やだ。見られてたの?」
幸いこちらには、外灯が無いので、木々のお陰でだいぶ暗い。
男は立ち上がり、こちらに向かってくるようだ。
「おい、返事しろよ! 黙ってないで出てこいよ」
「もういいって、帰ろうよ」
彩花は帰りたがってるが、男は頭に血が上っている。夜の公園なのに騒いでいる。
彩花との雰囲気が良かったので、邪魔されてキレてるのかもしれない。
「いや、絶対に見つける! 邪魔しやがって許さね」
(さっちゃん、走って逃げて)
さっちゃんには、走って逃げろとジェスチャーしたが、男の怒鳴り声に萎縮して、急には動けないみたいだ。
男はさっちゃんの方に向かって歩きだした。
やばい、やばい、やばい。
どうする?
どうする?
男はどんどんさっちゃんに近づいている。なんでそっちなんだよ。こっちに来いよ。
バレたら逃げるとは行ったが、さっちゃんを見捨てて逃げるわけには行かない。俺がこの状況に巻き込んだようなもんだからな。
俺は足元にあった小石を男の足元に向けて投げた。
コロン、コロン。
「ん? そっちか? 舐めてんな。待ってろよ!」
よし! とりあえず、こっちに注意が向いたみたいだ。
もうバレたらバレたで別にいい! 浮気? べっつに勝手にすれば。好きにやってればいいじゃん! 当然俺はお前と別れるけどな!
ドサッ、ドサッ。
今度はこっちに向かってくる足音が聞こえてくる。
ドクドク、ドクドク。
心臓が早い。ふぅ〜。落ち着け。落ち着け。
ドサッ、ドサッ。
ドサッ、ドサッ。
ゆっくり近づいてくるのが分かる。
見つかったか……
「おい、お前達! こんな夜遅くになにやってるんだ!」
凄く厳つい声が聞こえてきた。
救世主が現れたみたいだ。
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ここまで読んで頂きありがとうございます。
色々とコメントありがとうございます。
プロットとかを書かず、1話1話考えながら書いてるので、矛盾が出るかもしれません。申し訳有りません。矛盾や表現が少ないと感じる部分は、修正していきます。ご了承頂ければと思います。
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コメントも頂けると嬉しいです。できるだけ返信しようかと思ってます。
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改定
2021/03/21 文章表現変更
2021/03/25 三点リーダーに変更
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