第17話 豚
悲願の初戦を突破した誠達!
仲間達が誠を迎える!
「やった!やった!誠強すぎ!!」
「あの程度の奴が準優勝とはな…」
誠にとってさっきの赤鬼は雑魚でしかなかった。
誠達は次の対戦相手の情報を得る為、その後もオニンピックを観戦してた。
「どう?誠?誠より強そうな人いた?」
「さぁな…少なくともお前たちでは勝てそうもない奴は多かったな…」
「それを言われると痛いねぇ~大将」
誠は美琴と凛の3人でコロシアムを後にする。
すると、コロシアムを出た先には満面の笑みの町長が待っていた。
「これはこれは誠殿!素晴らしい戦いでしたな!私も鼻が高い!」
がしかし、誠達は町長を無視して進んでいった。
「ま、待ってくれ!今後の…今後の話をしないか?うまい飯を用意してるぞ。」
町長は誠の強さを見て、もう優勝した気持ちになっていた。
オニンピックで優勝をすれば、4年間この国のトップとして自由に法律を作れる。
その権限は選手達にあるため、今の内に話を付けておきたかったのだ。
誠は振り返り言い放つ。
「豚と喋る趣味はない」
それだけ言うと町長を背に立ち去って行った。
「あ~のくされ餓鬼が!誰のお蔭で今まで生活できたと思ってるんだ!クソクソクソ!!」
「町長…彼は今きっと試合後で気持ちが高ぶっているだけです。また落ち着いたらゆっくりと話せばいいかと…彼の好きな料理でも用意すればきっと町長の深い優しさに気付いてくれるはずです。
秘書がそう宥めるも町長の怒りはおさまらない。
「うるさい!!お前がうまくしつけないからだ!もういい!」
そういうと町長は自分の泊まる宿舎に戻っていった。
その後も誠達はサイコロの運に恵まれたおかげもあり順当に勝ち進んでいく。
団体戦もさることながら、特訓の成果が現れたのか個人戦でも武蔵が大金星を挙げるなど、今大和町は乗りに乗っていた。
次は準決勝である。
「誠!!誠誠誠誠!!!誠凄すぎるよ!!!」
美琴は興奮しすぎて、誠の名前を呼びまくりながら誠に抱き着く。
「うざい…美琴…離れろ。」
誠は冷静に美琴を引き離す。
「だってもうベスト4だよ!!快挙だよ快挙!!このまま優勝しちゃうかも!!」
美琴の興奮は冷めない。
美琴だけではない、誠以外のチーム全員が浮かれている。
しかし、誠だけは違った。
(ここまでは運がよかっただけだ…もうこれからはうちのメンバーじゃ勝てない…)
誠は気づいていた、ベスト4に残ったチームは総合力では誠のチームより断然上だと。
総当たりであれば、誠以外は勝てない事に気付いていたのだった。
「まぁ、運も実力の内か…さぁ戻るぞ。」
そういうと、誠達は宿場まで戻っていった。
宿場の前にはニコニコと満面の笑みを浮かべた町長と無表情の秘書が立っている。
「おお!英雄達の凱旋じゃ!!お待ちしておりましたぞ!ささ、どうそ中へ!宴の準備はできております!」
町長は大変気分よさげにメンバーに話しかける。
ただ、誠だけは仏頂面だった。
「俺は今日は飯はいらん、お前たちだけで食べてくれ。」
誠はそういうと、一人自分の部屋に向かう。
「待ってください!誠どのぉー。誠殿の好きなモツ煮を用意してあります!是非宴にいらして下さい。」
町長は必死に誠を引き留める。
「モツ煮か…あれはもう二度と食わない。何度も言わせるな。俺は今日は飯は食わない。」
誠はそういうと、町長を無視して部屋に向かった。
「…くそ…あの餓鬼が…こっちが下手に出れば調子に乗りやがって…」
「町長…他のメンバーに聞こえますよ…ここは抑えてください…」
「わかっとるわ!わかっとるがな!!まぁよい、優勝さえすればこの国はワシのもんじゃ。それにもう隣町にバカにされることはないしの。そうだった、あのバカ町長の沈んだ顔が楽しみじゃ。」
そういうと町長は機嫌を取り戻した。
その夜、誠以外のメンバーは盛大なベスト4祝いを受けたのだった。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます