2度目の恋

hibari19

第1話 チケット

「センセイ、コレあげる。好きでしょ?」


師長が、紙切れをヒラヒラさせた


急患の処置もひと段落し

ナースステーションの片隅で一息入れている


「ナゴド?お!ヤクルト戦じゃん、いいの?」


「野暮用で行けなくなっちゃったから。あたしも貰ったものだから、お気になさらず」

(ウィンク付き)


この救命救急センターに来た時からお世話になってる看護師長

ちょっとふくよかでお母さん的な感じだけど

そんなこと言ったら『そんな歳じゃない』って

絶対怒られるな


「じゃ、遠慮なく って、明日?2枚あるけど」



「…ん〜」


「えっとぉ〜後藤さん、だっけ」


「あ、はい」


いきなり名前を呼ばれて

驚いた様子で

記入してたカルテから顔をあげる



つい先日、血液内科からココへやってきたばかりの看護師さん


「明日の勤務なに?遅出?」


「あ、いえ休みです」


準夜勤の翌日は、たいてい遅出か休みだ

遅出だと間に合わないだろう



「良かった!野球観に行こ!

 あ、なんか予定ある?」


「あ、いえ、特になにもないですが

 野球、よくわからない...」


「大丈夫!教えるから」


「この人、オタクだからマニアックなこと教えるけどね」

看護師長のフォロー(か?)が入る


ひと睨みして



「明日は、当直明けだから、たぶん定時に終われると思うけど、何があるかわからないし

現地集合でいいかな?

あ、場所わかる?ナゴヤドーム」


「あ、はい。それは大丈夫です」


「じゃ、コレ」


チケットの1枚を渡す



「じゃ準夜勤頑張って!何かあったら呼んで。医局にいるから


「はい」



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