狙いは何かな...

一色 サラ

その女の子の狙いは…

 仕事の帰りに田所は、コンビニによって、お酒をカゴに入れていた。「これも買って」と見知らずの女の子が、ビールをカゴに入れてきた。

「嫌です。返してください」

ビール缶を押し付ける。

「なんで、そんなこと言うの」

女の子が泣きそうな顔を向けて、田所の方を見て、通用しないと思ったのか。

「もういいわ」

小さなため息をついて、小声で言って女の子が明らかに態度を変えて、追い払うように、手を払らってきた。

苛立ちを覚えたが、何も返答することもなく、田所は、その場から立ち去らうことにした。

後ろを振り返ると、男性のカゴに、女の子が田所を同じことをされていた。その男性は、何も反論することもなく、レジに行った。

そして女の子と、店を出て行った。

田所は、レジの店員に、警察を呼んだほうがいいじゃないかとつめよると、一瞬は驚いた表情を浮かべたが、「無駄ですよ。あの子、常習犯なので。それに、コンビニは何も被害を被っていませんので。で、清算されますか」

「ああ」

田所は、赤面して、そのまま清算を済ませて、コンビニを出た。先ほどの女の子と男性が、まだどこかにいるのではないのかと、あたりを見渡すしたが、姿はなかった。


 次の日、昨日見た女の子が新聞に載っていた。コンビニで偶然で出くす男性にビールを買わせて、男性に寄りかかり、コンビニを出てしばらくして歩いて、袋からビールだけを抜き取りって、逃走するという内容だった。

 ビールを買うだけに、そこまでする必要だったのか。それに女の子は高校生だった。大人になれば、いくらでも、ビールなどいくらでも飲めるのだ。ただ、若い人間からすると、早く大人の1歩を踏みたい気持ちも分からなくはない。



 

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