[あと2話!あと2話とは思えないタイトルですわ!]俺の胃袋は宇宙だ!

みのりん、ラーメン症候群を発症するの巻。




から1週間後。いよいよ2月のキャンプインが近づいてまいりまして。




まるで新学期が始まるような憂鬱感が俺に襲いかかってくるわけですが、今日も朝から真面目にトレーニング。



夜は11時までには寝まして、朝は6時半に起きて、みのりんを迎えに行き、しっかり朝食を食べて、まずはビクトリーズスタジアム内のトレーニングルームに足を運ぶわけです。



去年のシーズンが終わってから、トレーニングコーチと相談して決めたメニューに基づいて、フンフンフン真面目にウエートトレーニング。




去年1年間野球をしてみて実感したのは、やはり夏場のスタミナ不足。





わたくしの身長は171センチで体重70キロがデフォルトだったんですが、夏場に計ってみたら体重が65キロくらいまで減ってしまった時期があった。




確かその暑い時期は、怪我をした影響もあったけど、20打席だから30打席だかヒットが出なくて苦しんだ記憶がある。




体重が減ってしまったことにより、シンプルに力強さがなくなってしまった感覚だ。




普段なら内野の頭を越える打球が捕られてしまったり、ストレートに力負けしたりしたことあり、打席の中で焦り、バッティングのリズムみたいなものが狂ってしまったのだ。





もちろん夏場にいい具合に体が絞れて成績が上がる選手もいる。




そんなのは、身長180センチの体重90キロみたいな。他から見ても、立派な体格をしていると評価されていたり。



むしろ、チミはもうちょっと絞った方がええんでないかい?



と、思ってしまうような胴回りをしている選手がそうなるのである。




そんな選手が無駄なお肉が削ぎ落とされる格好で身のこなしが軽くなったり、スイングがシャープになることでバッティングがいい方向に向かうパターンだ。





俺はお伝えした通り、ロボットシミュレーションゲームで言えば、初期型のライフルを積んでいるだけで、ちょっと素早さがあるだけの量産型のザコキャラみたいなスペックのボディーなので話は変わってくる。




やられ専門もしくは、上級者の縛りプレイくらいでしか活躍の場がない軽量マシンの俺にとっては、体重が1キロ増える1キロ減るの影響はなかなかに大きい。




夏場にどうしても減ってしまう分を計算に入れると、通常よりも5キロ増。キャンプがあることを踏まえると、去年よりも7キロは増やしてシーズンに入りたいところだ。






そこで考えたのは、通勤中に目指せ体重プラス7キロ! ドッキドキ、4割打者のおデブ化作戦〜!





である。








この作戦は、1月中にもう一回り体を大きくしようということで、おうちからビクトリーズスタジアムまでの道のりにある食べ物屋さんを1週間で全て制覇しようという企画でございます。


もちろん至って真剣。体重を増やしつつ、近所のご飯屋さんと仲良くなろうという考えもある。



まずは、住んでいるマンションから見える牛丼屋さんからスタート。普段からたまに行くお店。牛丼ですから、腹ごなしにちょうどよい。





ルールとしましては、その店にあるもので1番カロリーが高いであろうものを注文することと致しましす。


赤めな看板でお馴染みのこのお店では、メニュー表に商品ごとのカロリーが記載されていた。




パッとみた感じ、やはり4種のチーズ牛丼のカロリーが爆発的に群を抜いており、通常の3倍サイズにあたる鬼盛りをチョイス。





3分ほどで運ばれてきたそれを、朝飯食ったばかりの胃袋にズガガガと放り込んでいくわけですが、半分くらい食べたところで……。






あっ、もういらね!この企画やめよ!




と思ってしまうわけであります。





いきなり1店舗目で挫折感を味わうわけですが、ここは野球選手らしく心を鬼にして食べるペースを上げ、紅しょうがを入れたり、タバスコをかけたり、ポニテちゃんの眩しいビキニ姿を想像したりしてなんとか食べきった。









「ありがとうございましたー!」





お腹を擦りながら牛丼屋さんを出てしばらく。



歩いて600メートルくらい。




ちょうど開店を迎えて、店先に暖簾を出したのは、とんかつ屋さん。



気前のいい親父さんが20年前に脱サラして始めたという、安くて美味しくてボリュームもあるという人気の個人店。




2店目はここである。






俺はたのもー! と、やかましく来店し、席に着くやいなや上ロースとんかつを注文。




店の厨房からジュワーッと、とんかつを揚げる音がしている時点で後悔の念に悩まされているのだが、今シーズンを乗り切るためだ。



4割打つためだと自分に言い聞かせて、笑顔で躍りながらとんかつが完成するのをしばし待った。




「お待たせいたしましたー!」




元気のいい店主の奥さんが四角いお盆に乗せた上ロースとんかつ定食を運んでくれる。




「メンチカツはサービスです! ごゆっくりー」






ここにきてのメンチカツは重たすぎぃ!!




と、思いながらもせっかくのご厚意なので、そのメンチカツから頂く。




丸々1個箸で持ち上げるのは少しきついくらい。





ソースも付けずに大口開けてバクっと頂く。







ジューシーなメンチカツの肉汁が俺に襲いかかる。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る