第2話 映画のゾンビは驚異だがゲームの世界だと雑魚モンスター
今回は、ファンタジー世界でのゾンビのスペック紹介です。
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「しかしゾンビごときを恐れるとは、とんだ見かけ倒しでしたな」
儀式が終わり退出中。大臣が王様へ言う。
「うむ。ゾンビなど、死霊使いが墓から適当な死体を操る初歩呪文ではないか。歴代の勇者の中には竜牙兵10体やレイスとも互角に戦った者もいたというのに…」
ファンタジー世界のゾンビといえば動きがのろい肉の盾。
体力が高い以外に特徴はなく、パワーアップしたら毒の効果がつく事もあるが、それだけである。
腐敗した体はもろく、ゲームによってはゾンビが攻撃すると体が崩れてゾンビ自身がダメージを食らったり、回復魔法で回復しようとしたらさらにダメージを食らう、冗談みたいなキャラもいた。(※ごく一部のゲームです)
強さのランクで言えば最低から一つ上程度である。
素早い分だけ
そんな相手を病的におそれるなど失笑物である。
「近頃、司祭殿は教会の権力の増大と共に慢心しているのかもしれませぬ。今回の召還者がふがいないようでしたら、別の者に儀式を行わせてはいかがでしょうか」
さらりと自分の息のかかった者を勧める大臣。
己の権力のために国の存亡さえも利用とするその心意気は、さすが腐ったこの国の大臣と言えるだろう。
「まあ、初見だけで判断するのはまずいだろう。隣国の5代前国王の時代など、無能と思って追放した治療師が実は万能だったゆえに、未だに最新技術を教えてもらえず没落しておるからな」
たしなめるように王様は言うが、内心は大臣と司祭 両者を争わせて共倒れさせようと画策しているのだった。
「しかし、『何度切っても簡単には死なないくらい頑丈』『多少 特異体質というか今までとは変わった体質の方』『多少は戦闘の経験があったほうが良い』という条件で選ばれたのがゾンビごときを怖がるのでは、衰えを感じずにはいられませぬ」と大臣が食い下がる。
たしかにそうだ。
今回はオーク退治を命じようと思って、戦闘力の高い人間を召還したはずだ。
それなのに、あのような男が選ばれるとは不思議である。
「何か、裏があるのかもしれぬな」
と大臣に同調するような言葉をつぶやく。
彼は知る由もなかった。
条件は全て叶えられていた事を。
それは彼の能力と言うより、彼の体内に宿った存在による部分が多い事を。
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「隊長」
部下から王宮を守る守備隊長に報告があがったのは深夜の事だった。
睡眠魔法の効果が切れたのか部屋からドアを叩く音が何度も聞こえているらしい。
どうやら監禁されたと勘違いしているようだ。と守備隊長は判断し
「もう夜遅いから、明日お話しましょうと伝えておけ」
と言った。が、
「それは報告しました。それでもなお叩き続けているのです」
「ふむ。言語翻訳の魔法が消えたのかもしれぬな。仕方がない。直接交渉しよう」
そういうと守備隊長は重い腰をあげた。
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頑丈な木の扉の前で守備隊長は
「客人よ。我々にあなたを拘束する意図はないのだ。その証明として、扉を開けよう。だから落ち着いて対話に応じてほしい」
そう言うと扉を開けた。
その目に映ったのは黒い黒い口の中だった。
大きく開いた口の奥。真っ白な歯が近づくのが見えて…
災厄はこれより始まる。
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本作のコンセプトは
『チワワしか存在しない惑星にド―ベルマンや土佐犬がやって来た』
というイメージで書いてます。
まるで、コロナウイルスの事を『コロナは風邪』と言っていた人間にそっくりな状態ですね。
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