第3話
約束守れなさそうなのでいっそのこと毎回夜中に予約して公開することにします。
0〜1時に公開がなかったら翌日と言うことでよろしくお願いいたします。
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休み時間を挟んで行われた席替えで、俺の席は窓側の一番うしろの席になった。
ラブコメ系のラノベでありがちな陰キャボッチの定位置じゃん。俺は陰キャボッチじゃないから困るなぁ~
「オッス。おれ、
「お、おう、拓也。俺は君方漣だ。俺の方も気軽に漣って呼んでくれ」
前の席のやつが話しかけてきたので、人見知りが発動するのをグッと我慢してフレンドリーに話してみた。
「漣てさ、よくいうところの陰キャボッチなのか?」
むっちゃストレートに聞いてくるな。これは好感が持てる。
「いいや、こっちに引っ越ししてきたばかりなので知り合いが全くいないからボッチはあっているかもしれないけど、少なくとも陰キャではないな。人見知りはするが!」
「堂々の人見知り宣言とは面白いやつだな!」
拓哉は短髪爽やか系のスポーツマンって感じのイケメンだ。
「ねぇねぇ。拓哉、もうその子と友だちになったの?」
「おう、雫。紹介するよ、漣。こいつ
「拓哉、一応って何よ、もう。えっと、はじめまして中條雫だよ。雫って呼んでもらっていいからね……」
「あ、君方漣だ。俺の方も漣って呼んでもらって構わないよ」
『よろしく漣くん』と言いながら拓哉とじゃれ始める雫ちゃん。
雫ちゃんは黒髪ナチュラルボブの活発そうな娘だ。美少女と言うよりもかわいい系で悔しいが拓哉とお似合いだと思う。
「何だこのリア充。陽キャか? 陽キャなのか?」
心の声がそのままダダ漏れで音声として発してしまっていたようだ。
「リア充かもしれないが陽キャではないぞ。あっちにいるようなナンパな陽キャ連中とはおれたちは違うから、そこんところはよろしくな」
「なるほど……よくわからん」
拓也が指したほうを見てみると、朝も煩かった茶髪チャラ男とギャル女が一際煩く騒いでいる。ああいう連中とは拓哉と雫は一線を画するってことなのだな。了解。
「彼奴等ギャーギャーと何が面白いんだか。
向波は拓哉の一年生のときのクラスメートで一番の友人らしい。隣市から自転車で通ってきているホムセンバイト君だ。
身長は少し低めだけどガッチリとした体型で力強そうだ。組み伏せられたら俺でも勝てない気がする。いやいや彼と対戦を想定すること自体おかしいな。
ちなみにだが拓哉はサッカー部で雫はそのサッカー部のマネージャーだと。このリア充め……
「しとし……ふぃとし……えっと……仁……ジンでいいな。バイトしているホムセンって近いの? 買い物したいから場所を教えてくれ」
「言いづらいからって安易な方に逃げたな。まあ僕の呼び方はレンの好きにして良いよ。ホムセンの場所は後で教えてあげるよ」
「あ~ 私だけのけ者にしてズルいのではないですか? こんにちは、はじめまして
「沙織ちゃん、ズルいとか言わないの。沙織ちゃんのことだってちゃんと漣くんに紹介するつもりだったよ」
最後に俺のところに来たのは北山さん。生徒会の会計をやっているようで、真面目そうな感じがするけど、沙織ちゃんとは気のおけない友人らしい雰囲気がした。
この四人とre:inというSNSアプリの連絡先交換をした。というか、俺はこのアプリをついさっきスマホにインストールしたばかり。
SNSメッセージアプリなんて使う相手もいなかったし、登録してある電話番号も養父母の携帯と弁護士と学校しか入っていない。
「はいはい。じゃあ、今日はこれで閉めますよ~ 日直も決めていないので今日は先生がやりますね。起立……礼「ありがとうございました」……では解散。また来週ね」
「漣はこの後何か用事あるのか? みんなでカラオケでも行こうかって行っているんだけど」
「誘ってくれてありがとう。でも、今日はこの邪魔な髪の毛を切りにいって、その後も、いろいろこの週末にはやらないといけないことがあるんだ。また今度誘ってくれよ」
「じゃあしょうがないな。皆にも行っておくわ。じゃあな!」
「おう、また来週」
今日は勢いに負けたのか人見知りモードには入らなかったようだ。このまま行ければ良いんだけどな。
家に帰ると簡単に飯を済ませ、ジャージに着替えボディバッグに財布とスマホだけいれて髪を切りにいざ行かん。
学校からの帰り道にあった駅前の美容室は客も店員もすごくチャラそうでハードルが棒高跳び並みに高かった。
できれば、髪型など俺は
駅前等の栄えている場所はチャラいのが多そうなので、住宅街のちょっと広い道あたりを攻めてみる。
「こういうところに渋い床屋なんかがあったりするものなのだよ、クックック」
―― 一時間以上歩き回ったが、俺は一軒の理容室も美容室も見つけられずにいた。
「なんか疲れた。喉も乾いたし、ここに入って一休みしよう……」
俺は床屋の代わりに見つかった渋い喫茶店でコーヒーでも飲んでちゃんと調べてから再スタートを切ることにした。
「いらっしゃいま……せ………」
「ん? 何? あ、えっと――」
今日の自己紹介の時見たわ。クラスメートのギャル系女……
「――鈴原、さん。だっけ?」
「……」
「(え? 無視? いくら今の俺の風体が陰キャボッチっぽくても無視はないんじゃない?)」
「お決まりになりましたら、お呼び……」
「コーヒー。ブレンドで」
「っ‼ か、かしこまりました」
あれ? 教室で見たときのギャル風な感じが全然ないのだけれど。逆に真面目にバイトしているいい子っぽい雰囲気だぞ?
「おまたせしました」
「ありがとう」
おっ‼ いい香り。ブレンドだけどこだわっている感じのするいい味がする。
ふと気づくと、鈴原は注文したコーヒーを置いたのに戻らないで俺の目の前に立っている。
「どうしたんだ? 鈴原、さん」
「君方くん、だっけ? なんでこんなところにいるの?」
「なぜかと言うと、この邪魔な髪が切りたくてお店を探している内に疲れたのでコーヒーでも飲もうかなって。それっておかしいか?」
「ここら辺には美容室はないよ」
「え? マジか……スーパー無駄足」
「わたしが……その……美容室。連れて行ってやるから、わたしがここでバイトしていることは誰にも言わないでくれないかな?」
「それは構わんが、チャラいところは嫌だぞ」
「オバちゃんがやっている静かなところだよ」
おじさんじゃないが静かなら良いか。バイトのこと誰にも話さなければ良いだけなんて好条件だし。
一時間ちょっと店内で待たせてもらって一緒に美容室に向かう。
「悪いね。まだ、ここら辺の地理に
「……古い住宅街だからね」
「そうなんだ。鈴原はここら辺の人なの?」
「………ちがう」
なんだか話したくなさそうな感じがするので、無理して話すことはないかと以降美容室に着くまで無言を通す。
「あら、いらっしゃい。ももちゃんがお友達、それも男の子を連れてくるなんてどういうことかしら?」
「……なんでもないよ。たまたま。この子、ただのクラスメートだから」
オバちゃんに俺のことをざっくり説明した後、俺はオバちゃんに髪を切って貰う。
俺のリクエストは短髪で、だけ。後はおまかせです。人見知りモードが炸裂中。鈴原のときも平気だったのに!
そもそもどんな髪型の種類があって俺に何が似合うかなんてさっぱりわからないのだから邪魔な毛がなくなるだけで御の字なのだ。
「はい、おしまい。あらら、いい男になったね。ももちゃん、みてごらん」
え? 鈴原は帰らずに待っていてくれたのか!
「‼」
俺のことを見た鈴原は一瞬目を丸くしたが、直ぐに無表情に戻り「いいんじゃない」とだけ一言感想を言ってくれた。
「ごめん。まさか待っていてくれたとは思わなくって……今度お礼をするよ」
「別に君方を待っていたわけじゃないから良いよ。ただの時間つぶしだから気にしないで」
鈴原は学校のときのイメージとはだいぶ違うくたびれた表情を見せていた。バイト中はギャル風な感じは一切なく、今はどちらかと言うと真反対の陰キャっぽささえある。
「助かったよ。バイトのことは誰にも言わないから安心していてくれ。何で知られたくないかも俺は聞かないから。興味もないしね。じゃ、また来週」
「…………」
まあ、人それぞれいろいろとあるのだろうからと、余計な
それでなくても今の俺は自分のことで精一杯で他人のことに口出す余裕なんて有りはしないのだから。
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