人を殺せる能力をもらいました 〜夢の世界は絶対君主制なのですが、知らずに転生しちゃいました〜

@taranagani

第1話 気が付くとソコは、、、

 最後の記憶は目玉が焼けるような光と耳を劈くような爆音、そして反対方向から飛来し無慈悲に全てを吹き飛ばす大砲。


 怒号のような無数の声と断末魔、無数の弾丸は俺達の体を簡単に穿っていく。


 俺はエゲツない高温でガラスに変わった地に倒れ、気付くと何処かにいた。


 その場所は、例えるなら真っ白なキューブの中。


 大きいから角が遠いけど、別に入口っぽい扉とか見当たらない。


 目に止まるのはただただ白い部屋と、目の前の女性だけ。



「アンタはアレか、女神ってやつか?」


「あら、分かりました? 軍事世界の人は科学者気質なのに珍しいですね? 神様なんて興味ない人が多いのに?」


「まあ確かに俺は変わり者ですからね、まあ良いでしょ。 転生できるんですよね?」


「あらら、珍しいですね? そんなことまで知ってるなんて?」


「常識だと思いますよ? 軍事世界でも宗教学は有りますし」


「いやいや、軍事世界で宗教学を覚えてる人なんて居ないと思いますよ? それに、、、」


「もう良く無いですか? 転生の手続きしません?」


「え〜っと、そうだね! とは言っても手続きらしい手続きは無いんですけどね。 転生する世界を選んでもらったら後は軽い説明もいらないだろうし直ぐに送るよ!」


「ふむ、そうなのか、、、 そう言えば聞いた話なんだが、、、」


「なんです?」


「世界のランク100は全員記憶の譲渡権限が有るって聞いたんだけど事実なのか?」


「ああ、その事ね! 事実だよ? と言っても譲渡じゃなくて継承、転生時にランクは初期化するけど記憶は完全に次の器へ移す訳だよ!」


「ランクの初期化か、、、 勿体無いけど記憶が残るなら喜ぶべき、かな? ソレじゃ転生する世界だけど、、、」


「あ、リスト渡しましょうか? ソレとも軍事世界にします?」


「そんなバカな、リストは要らないし軍事世界とか絶対ゴメンですね」


「そうですか? では?」


「夢幻世界、俺はソコに転生したい」


「夢幻世界、ですか? ソレって軍事世界とは真逆の性質じゃ無いですか? 確かに大きな世界ですけど」


「ああ、魔法部類の世界だからな。 特に夢幻世界は想像したら全てを生み出すことができる、だからこそ夢幻世界に転生したい。 俺はもう科学に嫌気がさしたのでね」



 俺はそう言うと女神様を見つめて軽く苦笑いして見せた。


 前に聞いたんだよな、こうゆう時普通は苦笑いを向けるものらしい。


 少し前は表情を失ったり何ヶ月も笑いが止まらない日もあったけど、今となっては感情を簡単に制御できるようになった。


 今では意識的にとは言え普通を体現できる程度まで精神が安定してる。


「そうですか、では決定とゆう事で。 転生を始めますね」



 総声が聞こえた瞬間、僕は聴覚と視覚を、、、


 恐らくは五感全てを失って、数秒後には意識を手放した。

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