いきなりエロ魔王に転生した俺、実は最強の死霊王だった件~頼もしい部下達を従え勇者達に復讐してみた
沙坐麻騎
第一章 新たな魔王誕生
第1話 勇者に追放され殺された雑用係
ある日、俺は勇者に呼び出され、こう告げられた。
「シユン、悪いが今日でキミはクビだから。つまり追放ね」
「ちょ、アレクさん! いきなりなんですか!? 理由を説明してください!」
「僕ら栄光ある勇者パーティに、キミのような雑用係は不要だ。魔王討伐のため、これから戦いも激化してくるだろうからねぇ」
アレクは言いながら、腰に差している『聖剣ファリサス』を見せびらかす。
つい先日、廃墟と化した古代神殿で偶然手に入れた由緒正しい神聖武具である。
俺の名はシユン。
勇者パーティの
現在とある山中にて野営中であり、この森を抜ければあの魔王が潜伏するダンジョンへ近づく予定だ。
目の前の男は、アレクというパーティのリーダーであり『勇者』だ。
黄金色の髪に整った顔立ちのイケメン。
紳士的な物腰は女性に人気があり、高い実力も相まって『真の勇者』と呼ばれていた。
だが僕から言わせば人格に問題があると思う。
特に自分より劣っている者を見下す傾向があり、決して周囲にバレることなく陰湿な嫌がらせをしてくる。
平凡な
俺はなんの特徴もない黒髪で素朴な外見である。
戦うのも苦手で、ずっと荷物管理や索敵を任されていた。
それでも自分なり頑張ってきたし、仲間からも認められていると思っていたんだ。
「他のみんなは……パーティの人達はなんて言っているんです!? セイリアは!?」
「ああ、キミの追放には全員満場一致だ。勿論、セイリアもね」
「嘘だ! あんな気持ちのいい人達がそんなこと言う筈がない! 特にセイリアが認める筈はない!」
セイリアは同じパーティで回復魔法を得意とする神官である。
そして俺の幼馴染で将来誓い合った恋人でもあった。
綺麗で長い銀色の髪、乳白色の肌を持つとても美しい少女。
意志が強く慈悲深く優しい。
俺はそんな彼女が大好きだ。
祖国である『フォーリア』から勇者パーティに選ばれた彼女を追う形で、俺は誰もやりたがらない
セイリアの傍で守ってあげたかったから。
当時、セイリアだって涙を流して喜んでくれたんだ。
アレクは鬱陶しそうに顔を顰める。
「うるさいなぁ……だったら、みんなに聞いてみればいいだろ?」
「わかりました、そうします!」
俺はアレクから背を向け、パーティ達が待機している場所へ行こうとした。
その時――
ザッ!
「ぐわっ!」
背中に激痛が走る。
俺はうつ伏せに倒れてしまう。
痛みに耐え振り返ると、アレクが聖剣を抜いて俺を見下していた。
聖剣の刃に真っ赤な
「あれ? おっかしいな~、斬り込みが浅かったかぁ?」
傷口を眺めながら平然と言う、勇者アレク。
「な、何をするんだ!? なんで俺が斬られるんだ!?」
「ああ? んなの目障りだからに決まってんだろが! このカスが!」
アレクの口調が変わる。
「目障り……俺が何をしたってんだ!?」
「うるせぇ、ボケがぁ! テメェに教えてたまるか! セイリアは僕の女だぁ、死ねぇ!」
なんだって!? セイリアが……アレクの女!?
俺は耳を疑うも、振り下ろされる剣を避ける。
背中の激痛が襲うもなんとか必死で起き上がり、とにかくその場から離れるために逃げ出した。
「シユン! 逃がさねぇよぉぉぉぉっ!」
アレクは常軌を逸したかのように顔を歪ませ、イケメン顔から醜悪な狂気の表情に変貌させ後を追ってくる。
俺はわけがわからず、とにかく必死で逃げまくった。
――そして考える。
セイリアのこと。
パーティ達のこと。
みんな……本当に俺を追放したがっていたのか?
殺すほど憎まれていたのか?
信じられない――信じたくない!
確かに勇者は嫌いだったけど、他のみんなは本当にいい奴らだと思っていたから……。
至高騎士のレイド。
魔道師のルーファナ。
弓使い&精霊使いのエルフ族、ララノア。
レイドは国王に仕えるフォーリアの騎士でありながら、実は名を変えた美しい女性という男装の麗人であり、俺とは身分と性別を超えた親友だと思った。
ルーファナは頭が良くスタイル抜群で、とても面倒見の良い優しいお姉さんのような存在だった。
ララノアもおちゃめで可愛らしく、いつも俺の雑用の手伝いをしてくれた妹のようなエルフ娘だ。
そんな人達が追放だけじゃなく、俺を殺すことにまで賛同するとは思えない。
ましてや、あのセイリアが……アレクなんかと……。
「ハァ、ハァ、ハァ……しまった――」
俺は辿り着いた先に絶望する。
そこは断崖絶壁あった。
無我夢中で逃げたとはいえ、なんて場所に来てしまったんだ。
崖の下は真っ暗であり、どこまでも続く暗闇である。
とても降りるなんてできやしない。
俺が引き返そうとした時――。
「ったくよぉ! カスの分際で手こずらせんじゃねぇよ、シユン!」
アレクが追い付いてきた。
――最悪だ。
「く、来るなぁ!」
俺は腰元からナイフを抜き構える。怖くて手が震えてしまう。
アレクは臆することなく、ニヤつきながら近づいてくる。
「そーいや、お前……カスの癖にスキル持ってたよな? それで雑用として勇者パーティに入れたんだろ? どうした、使ってみろよ?」
「あれは、ただの『収納スキル』だ! とても戦闘向きじゃない! 知っているだろ!?」
そう、俺は生まれながらにスキルを持っている。
――《
特殊空間を創り、あらいる物を無限に収納し好きな時に取り出せる。
食べ物も入れることができ、その場合は入れる前のまま永久的に保存状態が維持できる。
但し生物は収納できないが、『モノ』とカテゴリーされる物体のみ可能な能力だ。
ハズレとまでは言わないが、決して戦闘向きじゃない。
「知っていて言ってんだろーが! このバカがぁ! 死ねぇぇぇっ!!!」
アレクは喜悦の声を発し、聖剣を振り翳して襲ってきた。
俺は後退しようと足を動かした時、足場がないことに気づいた。
「うっ、うわぁぁぁぁぁぁっ――…………」
聖剣が俺の腹部を斬りつけ、そのまま崖へと転落する。
アレクは楽しそうにニヤつきながら、その様を見下ろしている。
どこまでも俺を嘲笑う、勇者。
――ちくしょうぉぉぉぉっ!
――憎い!
勇者が憎い!
俺をこんな目に合わせる、アレクが憎い!
殺してやる!
殺してやるぞぉぉぉぉっ!
奴が言うように、パーティ達も加担しているのなら同様だ……。
セイリアも……。
あんな男を勇者として祭りあげている連中を……。
――絶対に許さない!
俺の想念はドス黒い怨念と化し、深淵の闇へと落ちて消えた――。
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『二度目から本気出すトラウマ劣等生の成り上がり~過去に戻され変えていくうちに未来で勇者に媚ってた筈の美少女達が何故か俺に懐いてきました~』
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