第57話 新たな仲間!?いや・・・婚約者ですか・・・そうですか・・・(3)
「で、どういう事なの?」
「・・・わかんない。」
「はぁ?」
「ひぃっ!?」
今、僕は居間で正座して、みんなに見下されています。
ちなみに、今の会話は僕と桜花のもので、桜花の目は完全に座っています。
そしてみんなの目も怖い・・・その中には、ガーベラとアネモネさんもいる。
マリアは、何食わぬ顔で、僕の隣でニコニコしていた。
「・・・魔女。あなたどういうつもり?」
桜花が、マリアに視線を送る。
マリアは、そんな桜花を見た。
「桜花さん・・・その節はご迷惑をおかけしました。まずはお詫びを致します。その上で、本日伺った事についてお話します。皆様もお聞き下さい。」
マリアはそんな言葉から話はじめた。
「あ、その前に良いかな?」
「・・・何?龍馬?」
「まずは、みんなにマリアと僕達に何があったのかを話したい。マリア、良いかな?」
「はい、是非。」
僕がそう言うと、マリアは嬉しそうに微笑んだ。
「じゃあ、話すね?あのね・・・」
僕が話したマリアの事。
それは、
・ マリアは、僕達の世界で魔女と呼ばれる存在だった。
・ 1000年を生きていて、その大半は世界への復讐に生きており、全ての犯罪異能組織の生みの親と言われていた。
・ 復讐とはつまり、世界の秩序の崩壊と、人類の滅亡。
・ 僕達の世界の管理者の補助者、つまり、ヴァリスと同じ立場の者を籠絡して、管理者すら退けていた。
・ 魔女を討伐する目的の敵対する異能組織に、僕と桜花の後輩と従姉妹がおり、僕達は少し手助けした。
・ その結果、マリアの企みは叩き潰され、その命をもって責任を取り、それを僕が見届けた。
・ その後、マリアを、その世界の管理者のシータさんとジードに協力して貰い、こちらの世界に転生させたが、リソースの問題で、18年前になってしまった。
というものだった。
僕の話を聞き、みんなは微妙な顔をしている。
ここだけ聞けば、マリアはとんでもない極悪人だからね。
もっとも、瞳、宏美、梨花、早苗さんは、それよりも、そう言った力を持つ人が、多数いる事にびっくりしていたけどね。
「・・・なぁ、リョウマ。なんでお前がそんな悪人を救ったんだ?なんだかおまえらしくねぇんだが・・・」
アイシャの言葉に、みんなも頷く。
それはね?
「アイシャ、それにみんなも。僕は、マリアが何故そんな事をしたのか知っていたからだよ。あのね?マリアは、魔女の中でも天才だったんだって。当時の魔女の女王は、マリアにあとを継がせようとしたらしい。でも、魔女にも市民階級があって、マリアは平民だったんだ。で、それに嫉妬した魔女の女王の娘が、協力関係にある国の助力を経て、クーデターを図ったんだ。もっとも、その国はそれを利用して、魔女の里を根絶やしにしようとしたらしいんだけどね。当然、女王の娘もその時に裏切られて、殺されている。そして、マリアは、自分の目の前で、お父さんとお母さんを殺され、虐殺された同胞を見て、人間の醜さに気が付き、滅ぼそうとしたそうだ。どう思う?」
僕がそう言うと、アイシャは顔を顰めた。
それはみんなも同じだった。
「・・・リョウマさん。確かにそれは同情してしまうかもしれません。ですが、世界を滅ぼそうとした人を・・・なんで・・・」
「リディア、言いたいことはわかる。でも、マリアは最後、死ぬ必要は無かったんだ。本来ならね。その前に、改心していたから。でも、マリアは責任を取った。自分が悪として死ぬ事でね。僕はそれを最後まで見届けた。マリアは最期の時に・・・笑っていたんだよ。これで楽になれるってね。」
「・・・」
その最期に、みんな無言になる。
僕はみんなを見た。
「確かにマリアのした事は許されない。でも、彼女は責任を取ったんだ。そして、僕は彼女のそれを見届け、背負う事にした。彼女を見殺しにする事でね。だから、僕も責任を取ったんだ。」
「・・・責任?龍馬くん、責任って?」
早苗さんが僕に問いかける。
「マリアの魂を転生させ、罪の無いゼロの状態から、今度は間違えないように幸せに生きて貰う。その為に、管理者・・・こちらとむこうの神様達に協力して貰い、生まれ変わらせて貰ったんだ。」
「・・・そう。」
早苗さんはそう呟き、みんなは無言で僕を見た。
「その時に、僕は誓った事がある。もし、マリアがこちらの世界でも間違えて、悪に染まった時、その時は、責任を取って僕がマリアを終わらせるってね。それが管理者達が提示した、転生の条件だった。僕は、それを受け入れたんだ。」
「終わらせる・・・それって・・・」
瞳が思わず声を発した。
僕は頷く。
「マリアを殺すって事。」
「「「「!?」」」」
瞳、宏美、梨花、早苗さんは愕然としている。
一方、リディア達は納得しているようだ。
この辺りは、むこうとこちらの価値観の違いかな。
「そして、それには答えは出ている。今、ここにマリアがいる事でね。」
「・・・どういう事でしょうか?」
「それはねシエイラ、僕は転生させたマリアに、ここに来るのに、ガーベラかアネモネさんを頼れって言ったんだ。でも・・・」
僕はガーベラとアネモネさんを見る。
「この二人が、いくら僕の名前を出したからって、悪人を連れて来るわけがない。」
二人は頷いた。
「勿論、調査しましたわよ?生い立ち、評判、その力、全て。でなければ、ここに連れてくるなんて考えもしないわ。」
「お母様の言う通りだわ。だって、リョウマたちに迷惑かけちゃうじゃない。」
そうだよね。
僕は、黒猫会のみんなを信用しているから、必ずそうすると思ってたんだ。
「ちなみに、この子の評判は、とても優秀で、見た目も美しく、とても優しいと評判だったわね。もっとも、優秀さが世間に知られ始めたのは、ここ一年位の間だけど。」
そっか・・・ちゃんと僕の忠告を聞いていたんだね。
僕がこの世界を救うまで、教会に目をつけられないように、あまり優秀さをひけらかしてはいけないよっていうのを、さ。
「・・・経緯はみんなも分かったわね?それで、ここに押しかけて来るのにどうつながるのかしら?」
桜花が腕を組んでそう言った。
ああ、それは・・・
「え?転生させた時、良い子にしてたら褒めてくれる?って言ってたから、僕に出来る事ならなんでもするよって・・・」
「「「「「「「「「「「「「「「「「それよ!(です!)(だろ!)(じぇねーか!)(じゃない!)(ですわ!)(じゃん)バカーーーーーーーー!!!」」」」」」」」」」」」」」」
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