第51話 BUNKASAI!!(3)

「お帰りなさいませ、お嬢様。」


 今日は文化祭当日。

 朝からフル回転だ。

 

 流石に学校でも可愛いと評判の桜花や瞳、宏美や梨花がいるから、集客が凄い!

 てんてこ舞いだ!


 うちの学校は、生徒の関係者であれば、外部の人も入れるからね。 

 見た事ない人も多い。


「ねぇ、あの人格好良いよね!」

「うん、なんというか・・・似合う?顔は可愛い感じなのに・・・大人の男って感じがする。」


 まぁ、たまに僕を見てひそひそ話をする人達もいるけどさ。

 ・・・似合って無いんだろうなぁ。


「・・・龍馬のアホ。」


 なんか、桜花が僕の後ろから罵倒してきた。

 酷い・・・



 時間が過ぎて休憩に入る直前、嬉しいことがあった。


「龍馬さん!こんにちは!おお〜!執事!格好良いですね!!桜花ちゃんも可愛い!!」

「兄貴!こんちゃっす!!かっけーっすね!あねさんも似合ってます。流石っす。」

「こんにちは、先日ぶりですね。」

「三上さん、こんにちは。」


 僕の後輩の大和健流くんと、桜花の従姉妹の廻里灯里ちゃん、後はそのお友達の如月姫乃さんと、その友達であり・・・なんとあの教皇やってた黒瀬の妹である黒瀬光さんが来てくれたんだ。


「みんな、ありがとね来てくれて。」

「兄貴!気にしないで下さい。兄貴の為ならどこでも行きます!!」

「あはは。ありがとね?」


 健流くん達は、夏休みに色々あったけど、こうして仲の良さそうで元気な所を見るのは嬉しいなぁ。


「あら、健流達も来たのね。」

「姐さん!こんちゃっす!」

「桜花ちゃんこんにちは!可愛いね!」

「「こんにちは」」

「こんにちは。灯里、ありがとね。あと、健流、姐さんって言うな。」

「ひっ!?す、すんません姐さん!!」

「・・・はぁ。」


 僕達は健流くん達を席に通し、接客する。


「あ、あの席の子たち・・・めちゃくちゃ可愛くないか!?」

「おう!廻里さんと同じレベルだぞ!?」

「うちの学校の4人に負けてないな!すっげー!!」

「でも、あの席の男・・・まさかあいつの彼女か?距離近いし・・・くそっ!!三上といい、あいつといい・・・不公平だ!!」


 クラスメイトの男の子達の嘆きの声が聞こえてきた。

 ・・・なんで僕の名前が出てくるの?

 僕、なんにもしてないのに・・・


 こうして、健流くん達も帰って行き、残り1時間半前。

 ついに・・・例の時間となる。


 ・・・嫌だなぁ。

 でも、健流くん達が来た時じゃなくて良かった。

 こんな姿を後輩には見せられないよ。


「・・・やるわね龍馬。」

「龍馬くん、可愛い!」

「龍馬っち・・・似合うなぁ・・・」

「・・・りょ、龍馬く・・・いえ、りょうちゃん可愛い・・・」


 ううう・・・恥ずかしい・・・


「さぁ、お披露目といきましょう?」


 ニヤニヤする桜花に手を引かれ、衝立から出る。

 そう、実は今日まで、メイド服を他のクラスメイトには見せて無かったんだよね・・・というか、桜花達にも。

 

 今日は、本番という事で、メイクとかは、桜花達に頼んだんだよ。


 僕がフロアに出ると、部屋がざわついた。


「あ、あれ誰だ?あんな子いたか?」

「可愛い・・・誰だ?」

「・・・嘘・・・あれ、まさか・・・」

「三上・・・くん?」

「「「「「「「「「ええ〜!?」」」」」」」」」」」

「・・・そんなに驚かなくても・・・」


 騒然となる。

 

「え?え?骨格どうなってるの!?なんで華奢になってるの!?声はなんでそんなに可愛いの!?」


 身体操作でやりました。

 骨格を女性よりにして、声帯も変えています。

 今は、少しハスキーな女性の声になっている。

 筋肉は圧縮しました。

 動きは、リディアやシエイラなんかの女の子らしい子を参考にしてます。

 なんて、言えないなぁ・・・


「可愛い!もじもじしてる!」


 そりゃするよ!

 だってスカートなんかはいたの初めてだし!!


「ウィッグも似合ってるね!!黒髪のロングが良い!!」


 ・・・ううう。

 恥ずかしい・・・


「あ、あれが三上・・・嘘だろ?」

「普通に可愛い・・・い、いや、あれは男、あれは男!!」

「・・・ごくっ。」


 ・・・なんか男子に変な目で見られてる気が・・・


「さぁ、龍馬・・・いえ、りょう。接客よ?ほら。」


 桜花に促され、次のお客さんの所へ・・・って早苗さん!?


「あら?君、誰・・・え”!?まさか・・・龍馬くん!?嘘!?か、可愛い!!」


 目を丸くして驚いている早苗さん。

 く〜!

 恥ずかしい!!


「お、お帰り・・・なさいませ・・・お、お、お嬢・・・様。」

「!?ごくっ・・・桜花さ・・・廻里さん!この子お持ち帰りしても良いかしら!?」


 何言ってんの早苗さん!?


「駄目に決まってるでしょう!こ・も・り・せ・ん・せ・い!」

「あ・・・はい・・・残念・・・でも・・・うふふ・・・」


 残念そうにしながら、よだれを拭き、ニヤッと笑う早苗さん。

 嫌な予感がする。

 僕はちらりと瞳を見る。


「・・・くふっ。じゅるり・・・」


 ・・・宏美は?


「・・・にしし・・・」


 ・・・梨花・・・


「・・・はぁ・・・はぁ・・・ごくりっ・・・」


 ・・・まずい!!!

 これはまずいですよ!!

 僕をいやらしい目で見ないでぇ!!


「さ、りょうちゃん?お嬢様をお席にお連れして?それと・・・」


 桜花はそう言って僕の耳に口を寄せた。

 そしてボソッと耳打ちする。


「可愛いわよ?りょうちゃん?・・・これは、楽しみね・・・今度、いっぱい可愛がってあげるわね?」


 ゾクゾクッ!!

 ひぃ!?

 僕どうなっちゃうの!?


 これ、まだ一日目だよね?

 ・・・しんどい・・・


********************

メイドのりょうちゃんでした(笑)


友情出演として、『異能が全てを変えた日』より、弟分の健流くん達に来てもらいました。

そして、次は2日目。いよいよ、あの団体が・・・龍馬は生き残る事が出来るか!?

乞うご期待!

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