アフターストーリー 文化祭編

第49話 BUNKASAI!!(1)

新年、明けましておめでとうございます!

今年もよろしくお願いします。


*********************


 夏休みを終えて新学期。

 既に一週間以上が経過している。


 特に変わったことは無い・・・訳でも無いんだよねぇ・・・


「龍馬くん!あのね?・・・」

「龍馬っち〜!この間さぁ〜・・・」

「龍馬くん・・・これって・・・」


 僕に瞳や宏美、梨花がべったりだ。

 桜花も変わらない。

 別に僕は良いんだけど・・・


「・・・なぁ。あいつら距離が更に近くなってないか?」

「だよな。もしかして・・・クソッ!!想像したくねぇ!でもしちまう!!チキショー!!」

「・・・ううう・・・大人になっちまったのかなぁ・・・ああ・・・河瀬・・・」


 ていう男子達と、


「葛城さん達、ぐっと大人っぽくなってない?」

「わかる!それってさぁ・・・多分・・・」

「だよね〜!三上くんとのふれあいも自然な感じになってるもんね!」

「・・・良いなぁ。私も貰ってくれないかなぁ・・・」


 ていう女子達。

 ・・・貰ってくれないかって・・・何を?

 

「は〜い!みんな席に着きなさい!ホームルームを始めるわよ!」


 早苗さんが入ってきた。

 

「・・・なんか、夏休みの間に、小森先生も綺麗になってないか?」

「だよなぁ。すっげー色気が・・・」

「もしかして、彼氏できたのかな・・・」

「あ〜うらやましい。あんな人と付き合えるなんて。」

「馬鹿、俺達みたいなガキなんて相手にして貰えね〜よ。多分、ダンディな大人の男だぜ?」


 さらに、こそこそと言うそんな男子の声と、


「小森先生凄く綺麗に見えるわ・・・もしかして彼氏できたのかな。」

「そうよね。なんか機嫌も凄く良く見えるし・・・あんなしっかりとした人と付き合うなんて、かなり大人な人なのかしら。」

「仕事でもプライベートでも充実してるのね・・・憧れるなぁ。」


 こんな女子のひそひそ話も聞こえてくる。

 う〜ん・・・やっぱりわかるもんなのかなぁ。


 僕には、全然そういうのわかんないんだけど・・・


「りょ・・・三上くん?三上くん!聞いていますか!!」

「ひょえ!?は、はい!!」


 うわ!

 しまった!!

 上の空になっちゃった!!


「あ〜あ、三上の奴、怒られろ!!」

「小森先生、こういう時怖いからなぁ・・・」

「ざまぁみろ!!」


 うへ〜・・・まぁ、仕方がないか・・・

 しょんぼりしちゃう。


「ボソッ(かわいい・・・)コホン!三上くん?ちゃんと話を聞かないと駄目よ?わかった?」

「すみません。気をつけます。」


 う〜・・・怒られちゃった。


「・・・ごくりっ・・・ん”ん”っ!わ、わかれば良いの。」

「はい。」


 ・・・なんか、早苗さんの目の奥に、獣の様な気配を感じる。

 あの目はアイシャ達が僕を見る目に近いような・・・


「・・・あれ?なんであれだけなんだ?」

「・・・だよな?いつもだったらもっとバシッと叱るのに・・・」

「・・・ちぇっ。三上の奴が怒られるとこ見たかったのに。」

「・・・ねぇ、今、小森先生可愛いって言わなかった?」

「まさか・・・って言いたいんだけど・・・」

「・・・なんか、大好物を前にしたような感じもしたよね?」

「もしかして・・・いやいや、そんな筈無いでしょ。うん、ないない。教師と生徒なんて・・・ましてやあの小森先生がなんてそんな訳・・・無いよ、ね。」


 教室が若干ざわついてる。

 桜花や瞳達は苦笑しているみたいだ。


「はい!ほらみんな、静かにする!!続きを話すわよ!」


 気を取り直すように大きな声で仕切る早苗さん。

 そこに、先程までのような雰囲気は無い。

 あれはなんだったのか・・・考えたくない。


「さっきも言ったけれど、もうすぐ文化祭の準備に入ります。それに当たって、このクラスで何をするのかを決めて下さい。それでは、葛城さん?お願いするわね。」

「はい。みんな?私達のクラスはどうしようか?」


 文化祭か〜。

 そういえばそんなのあったね。

 何するのかな〜?


 みんなの意見が色々出て行く。

 多かったのは・・・喫茶店の類だね。

 それも、メイド喫茶だった。


 安直だなぁと思う反面、このクラスには桜花や瞳、宏美や梨花もいるから、集客は見込めるよね。

 ・・・ちょっと僕的には複雑だけど。


「さて、それでは最終確認をします。今のところ、票数が多いのはメイド喫茶とお化け屋敷、それと・・・ジェットコースターね。この3つで挙手をして下さい。」

「あ、葛城さん?多分ジェットコースターは許可が下りないわ。以前、怪我人が出たらしいから。」

「あ、そうなんですか先生?となると、メイド喫茶かお化け屋敷ね。じゃあ、けつを取ります。どちらかに手を挙げてね。」


 さて、結果は・・・メイド喫茶になりました。

 男子生徒は基本裏方で、料理が出来る人の補助や、レジ、列の整理や内装作りなんかになったんだけど・・・


「い”!?僕は接客なの?料理できるのに!?」

「そうなの。龍馬くんは基本、執事になって貰います。ボソッ(私達だけ見世物は嫌だし、これなら一緒に居られるからね・・・)それと・・・サプライズとして、2日ある内の一時間ずつ、メイドになってもらいます!これはクラスの女子の総意です!拒否権は・・・ありません!!」

「え〜!?」


 嘘でしょ!?

 執事はともかくメイド!?

 僕が!?女装しろって事!?

 嫌だ!!


「あ、三上くん?先生もそれに賛成一票で。」

「えぇぇぇぇぇ!?」


 早苗さんまで!?

 めっちゃニヤニヤしてるし!!

 僕は助けを求める為に桜花を見る!


 そこには、


「良かったわね龍馬。新しい扉が開くかもよ?ボソッ(私達の、ね)。」


 良い笑顔の桜花がががが!!


 助けは来ない・・・僕は一人だ・・・

 ・・・文化祭、休もうかなぁ・・・

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