第42話 夏休みのおもひで〜覚悟を決めた女性はつおい(2)〜

「瞳、宏美、梨花、早苗さん。聞いて欲しい。」


 僕の言葉に4人が僕を見る。

 みんな真剣な表情だ。


「まずはありがとう。みんなの気持ちはとても嬉しい。そこまで愛されてるのに気がつけなかった。・・・みんなに女心を勉強するように言われているのに、情けなく思ってる。その上で、」


 僕は言葉を区切った。

 ゴクリと誰かが唾を飲んだ音が聞こえた。


「僕がみんなに問いたいのは、一つだけ。僕はこの先、いずれ管理者・・・神様になると思う。そうすると、僕との絆がある人は、寿命が無くなる。」

「「「「!?」」」」


 みんな驚いているね。

 でも、これは避けては通れないんだ。


「それは、この世界に生きる人と、断絶するという事だ。その覚悟は有る?」


 みんなそれぞれ固まっている。

 これが受け入れられないなら、無理だ。

 でも、もし受け入れられるなら・・・


「・・・私は、」


 瞳が口を開けた。


「私は、それでも、一緒に居たい!だって好きだもん!大好きなんだもん!!その為なら・・・世界だって捨てられる!!」


 ・・・凄く強い意思の目だ。

 綺麗だ・・・


「驚いちゃったけど・・・私、さっきも言ったわよね?私は、教師にも関わらず、教え子である貴方の事を愛しちゃう位に、貴方の事が好きなのよ。私の全てを捨てる覚悟があるの。今ある立場が捨てられるなら、世界だって捨てられるわ。」


 早苗さんもだ。

 覚悟が定まっている。


「私もだよ!私だって、龍馬くんと一緒に居られるのなら、なんだって、どんな事だってするよ!だって、もう龍馬くん以外愛せないもの!」


 梨花が、いつもとまったく違う表情を見せている。

 睨みつけるくらいの気迫を感じるね。

 ・・・それだけ本気なんだね・・・


「あたしは・・・正直、気後れしてるよ・・・でも、さ。あたしも龍馬っちの事大好きなんだ。だったら、そんなの些細な問題だよ。龍馬っちと一緒に居られない事の方が悲しい。それ位好きなんだ!」


 いつもおちゃらけて、ムードメーカーな宏美。

 そんな宏美も、いつになく真剣だ。

 

 よし、僕も覚悟を決めよう。


「じゃあ、僕の気持ちを言うよ。僕はみんなの事が好きだ。その好きは正直、恋愛的な好きでは無かったと思う。でも、みんなの真剣な気持ちを聞いて、僕も覚悟を決めるよ。僕は、きっとみんなの事を、恋愛的な気持ちで愛してみせる。だから、僕と一緒になって下さい。お願いします。」

「!?」

「な、なんで龍馬くんが頭を下げるの!?」

「そ、そうだよ!私達がお願いしているのに!?」

「りょ、龍馬っちやめて!?頭をあげてよ!!」


 僕の言葉に瞳、早苗さん、梨花、宏美があたふたしている。


 そんな僕達に、クスクスという笑い声が聞こえて来る。


「あのね?龍馬は、受け入れる時、その全ての責任を取るのよ。」

「そうです。だから、受け入れる側のリョウマさんから、お願いされるんですよ?」

「ああ、私達も驚いたな。」

「そうだなぁ・・・あれには驚いたぜ・・・」

「そうね。だってこちらがお願いしてるのにね。」

「メイもびっくりしたのです。」

「まぁ、嬉しかったんだけどね。」

「本当ですわ。その後、泣いてしまいましたもの。」

「懐かしいなぁ・・・ねぇ?アナ?」

「そうですねレーナ様。」

「本当にご主人様らしいと言いますか・・・」

「そうですね。でも、そんな龍馬くんだからいとしいのです。」

 

 それは、桜花、リディア、グレイス、アイシャ、シエイラ、メイちゃん、エルマ、エスメラルダ、レーナ、アナ、ルーさん、セレス・・・て、全員じゃないか・・・


 仕方がないでしょ?

 それが、僕の責任だと思うんだから。


 そんなみんなの言葉に、瞳達は、崩れ落ちるようにして、泣き出した。


「よ、良かった〜!良かったよ〜!!」

「ありがとう・・・龍馬くん・・・受け入れてくれて・・・」

「うう・・・嬉しい、嬉しいよう・・・これで、ずっと龍馬くんと一緒に居られる・・・」

「そうやね〜・・・って、駄目だ。やっぱ我慢できないや・・・目から涙が・・・」


 4人が嬉し泣きしていた。

 みんなが、4人を抱きしめている。

 

 はぁ、これで僕はますます頑張らなきゃいけなくなったな・・・みんなを絶対に守れるようにしよう!うん!!


「・・・そうですね。これで龍馬くんは、頑張らなきゃいけなくなりましたね・・・色々と・・・」


 ん?セレスが何かボソっと言ったような・・・


 パン!


 瞳達が落ちついて来た所で、リディアが嬉しそうに柏手を打った。


「さて・・・ヒトミさん達おめでとうございます。これで、私達は仲間ですね。みんな呼び捨てでも良いですし、敬称をつけても良いです。オウカは正妻ですが、私達の立場は対等です。これからよろしくお願いしますね。」


 リディアの笑顔がすっごく輝いてるなぁ・・・そんなに嬉しかったんだ。

 でも、ちょっと意外だな・・・


「そうねリディア、そうと決まれば・・・」

「ええ、オウカ。そうと決まれば・・・」


 ん?

 なんかオウカもリディアも黒い笑顔に見えるような・・・気のせいかな?


「瞳、宏美、梨花、早苗さん、誰からにする?」

「え!?もう!?」

「少しでも早く龍馬から愛されたいでしょ?」

「そ、それはそうだけど・・・」

「・・・じゃあ、私からにしようか?経験者だし・・・」

「サナエさん。いえ、サナエと呼ばせて頂きますね?サナエ、普通の男性とリョウマさんを一緒にしてはいけませんよ?おそらく、想像を絶しますから。もっとも、私はリョウマさんしか知りませんが、聞いた話から総合的に判断するとそのようです。」

「・・・え、そ、そうなの?」

「ええ・・・もう、離れる気が、起きなくなる位に・・・それに・・・ごにょごにょ。」

「え!?じゃ、じゃあ、つけなくても・・・ごくりっ。」


 え?なんの話?


「じゃ、じゃあ、早苗さんの後は私で・・・」


 瞳?


「その次は私・・・はぁ・・・♡はぁ・・・♡」


 あれ?梨花?

 なんか感じが・・・


「あたしも、覚悟してるけど・・・ええい!女は度胸だ!どんと来い!」


 ・・・宏美?なんでそんなに気合を入れてるの?

 なんか嫌な予感が・・・


「さ、龍馬くん?あちらに行きましょう?」

「さ、早苗さん?あの・・・どういう・・・なんで腕を組んでいるの?」

「もう♡そんな事女性に言わせては駄目よ♡それに・・・早苗って呼んで♡」

「え?え?」


 僕は桜花達を振り向いた。

 みんなめっちゃ良い笑顔!?


「龍馬〜!頑張ってね〜?」

「リョウマさん、しっかりと愛してあげるのですよ〜?」

「そうだぞ!スキル全開で行くのだ!!」

「そうそう、先は長いんですから、ね?」

「やったのです!今日も出来るのです!」

「そうだなメイ!あ〜!腕が・・・いや、色んなところが鳴るぜ!」

「何よアイシャその言い方は。・・・でも、分かるけど。」

「我慢、我慢ですわ!ヒトミさん達が一巡したら、なだれ込みますわ!!」

「エスメラルダ・・・目が、竜眼になってるよ?興奮しすぎ!」

「・・・そういう、レーナ様も、お召し物の下から、少し垂れてますよ?」

「あらあら・・・流石はレーナ様。興奮しすぎですよ?・・・まぁ、私も待ちきれませんが。」

「龍馬くん、良かったわね?ちゃんとお仕置き受けられる事が出来そうで。だって、お仕置きを持ち帰るなんて嫌ですもんね?」


 桜花が、リディアが、グレイスが、シエイラが、メイちゃんが、アイシャが、エルマが、エスメラルダが、レーナが、アナが、ルーさんが、そして、セレスが・・・凄まじく輝く笑顔で僕を見ている。


 はっ!?

 そうか!

 そういう事か!!

 謀ったな!!!


 全て・・・全て僕を搾り取る為かぁ!!!!!!!

 

「ちょ!待って・・・」


 そうこう言っている間に、早苗さんは僕をベッドのある部屋に連れ込み、僕を押し倒して、そのまま抱え込む。


「龍馬くん・・・いっぱい愛してね?・・・愛してる♡」


 早苗さんの唇が僕の唇に触れ・・・舌が侵入してきた。


 ああああああああああああああああああああ

 もう我慢出来ない!

 僕だって魅力的な早苗にこんな事されて、そのままでいられるか!!







 




「終わった・・・」


 僕の目の前には、疲れ果てたまま、満足そうな笑みを浮かべて眠っている宏美がいる。

 まさか、立て続けに4連戦になるなんて・・・まぁ、瞳も宏美も、梨花も、早苗さんも、しっかりと満足してくれたみたいだし、いっか。




 ふぅ・・・さて、逃げるか!


 僕が立ち上がって服を着ようと手を伸ばした所で、僕の手と、両肩が掴まれる。


「させると」

「思ってるのですか?」

「龍馬くん、諦めなさい?」


 ひぃ!?

 桜花!?リディア!?セレス!?

 いつの間にこの部屋に!?

 しかも、もう、服脱いで準備万端じゃん!!


 あ!?

 続々とみんなが部屋に入ってくる!!


「さ〜てリョウマさん?お仕置きの・・・時間ですよ?これから3日間・・・頑張りましょうね〜?」


 ひいぃぃぃぃぃ!!!!!

 リディアの実刑宣告だ!!


 みんなが飛びかかって来た!


 ああ、駄目だ・・・


 モウニゲラレナイ・・・


 ダレカ・・・タスケテ・・・シボリ・・・コロサレ・・・

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る