第17話 突然の訪問(異能が全てを変えた日、とのリンク))

 ピンポーン!

 突然チャイムが鳴ったけど、誰かお客さんかな?

 今は学校の放課後で、僕の家に桜花が遊びに来ていた。

 正確には、宿題をやりに来ていたんだけど・・・


「はーい!今出まーす!」


 父さんと母さんは仕事で不在なので、僕がでなければいけない。

 急いで玄関に行き、ドアを開けると、そこには・・・


「あれ?君は・・・確か公園で会った不思議な子?」


 そこには、以前公園で会った金髪の女の子がいた。

 その後ろには、付き人と思われるスーツの女性もいる。

 なんだろうね?


「こんにちはお兄さん。私はアンジェリカと言います。こちらはクリミア。今日は、謝罪とお願いに来ました。」

「謝罪?・・・なんの事?」

「少し長いお話になります。」

「そう・・・なら・・・」

「龍馬。誰かしら?」

「ん?ああ、桜花か。いや、なんか前に話した公園で襲われていた子が、謝罪とお願いに来たって言うんだけど・・・」


 後ろから桜花が近づいてくる。

 それを見てアンジェリカちゃんが目を見開いた。


「申し訳ありません。お客様が見えたのであれば、また伺いますが・・・」

「・・・いいえ、私は大丈夫ですよ。龍馬、上がってもらったら?何か込み入った話みたいだし。」

「・・・そうだね。じゃあ、そうしようかな?」


 そうして二人に上がって貰い、自己紹介をする

 アンジェリカちゃんとクリミアさんが桜花に名乗った後、桜花も名乗った。


「私は、廻里桜花と言います。龍馬の・・・婚約者です。」

「えっ婚約者!?・・・というか廻里・・・そういう事か・・・これはあなたにもお話を聞いて頂く必要がありますね。」


 二人は驚いていた。

 しかし、それ以上に、廻里という名字に、何かあるみたいだ。

 なんだろう?


 僕は、お茶を二人に出して、テーブルにつく。


「まずは、謝罪を。あなた方のお知り合いの廻里灯里さんを、私達の都合で危険にさらしてしましました。申し訳ありませんでした。」


 そう言って、立ち上がって頭を下げる二人。

 ・・・灯里ちゃん?


「・・・どういう事ですか?」


 僕が考えこんだ瞬間、桜花が凄まじいプレッシャーを放ち始めた。

 途端に顔を強張らせ、微妙に震える二人。


「待って桜花、落ち着きなよ。」

「でもっ!」

「そもそも、今アンジェリカちゃんは、危険に晒してしまったって言ったんだよ?だから、今は危険では無いって事。だよね?」


 そう問いかけると、アンジェリカちゃんは、


「はい、そうです。発生は昨日の夜です。昨日中に解決して、今は元気にしている筈です。」


 そう、真顔で頷いた。

 表情はまだ硬いね。

 というか、桜花の威圧に耐えられる・・・もしかして・・・


「一つ聞きたいから、正直に教えて欲しい。君たちは、何か不思議な力を持ってるの?」


 そう聞くと、二人は驚いた顔で頷いた。

 やっぱりね。


「龍馬、どういう事?」

「あのね、桜花。君の威圧に耐えたんだよ?普通なわけないじゃないか。」

「・・・それもそうね。ちょっと頭に来て考えが足りなかったわ。」


 そう言ってため息をついてクールダウンする桜花。

 そして、


「アンジェリカさん、詳しくお話頂けるかしら?」


そう切り出したんだ。


「はい。お話します。私達は、異能組織『エデン』の者で、私はそこの長をしています。私はこう見えて、数百年の歳を重ねています。エデンの目的は、犯罪異能者や異能組織から世界を守る為です。今回は、私共の研究者が敵組織の者に拉致され、灯里さんはその現場を目撃、義勇心から助けに入り、拉致されてしまいました。」


 異能・・・超能力や魔法の事かな?

 創造神様から聞いてたけど、こっちも充分ファンタジーなんだね。


「そして、組織の手の者が、救助したのですが、その際に、外傷はほとんどありませんが、洗脳しようとしたようで、心理的負担が掛かったようでした。」

「・・・大丈夫なのよね?」

「はい、それについては問題無いと組織の医師がお墨付きを出しました。しかし、問題は、灯里さんは、助けに来た者と共に歩きたいと、強い想いを持ち、異能に目覚めたのです。」


 えっ!?

 灯里ちゃんが!?

 というか、一緒に歩きたいって・・・


「少しいいかしら?」

「はい。」


 桜花がそこで口を挟んだ。

 

「もしかして・・・あなたの組織に、もう一人私達の知り合いがいるのかしら?」


 そう、僕もそこが引っかかったんだ。

 もしかすると・・・


「・・・はい。恐れ入りました。その通りです。名前は、大和健流。聞き覚えはありますよね?」

「そう・・・やっぱりあの子が・・・」


 やっぱり健流くんだったか・・・

 と、すると、創造神様が言ってたキーマンって・・・


「僕からもいいかな?」

「どうぞ。」

「健流くんは、君たちの組織にとって大事な人なんじゃないの?」


 そう聞いたら、アンジェリカちゃんは驚いた顔をした。


「・・・本当に驚きました。何故わかったのですか?」

「創造神様に会った時に、僕の知り合いがこの世界を救うキーマンになるって言ってたんだよね。それでもしかしたらってさ。」

「・・・創造神様・・・」

「スケールが大きすぎる・・・」


 アンジェリカちゃんとクリミアさんは固まった。

 僕は先を促す。

 すると、アンジェリカちゃんは、何かを決意した表情で、僕に話しかけて来た。


「この後、お願いしようと思ったのですが、灯里さんはエデンに入りたいと言っています。勿論、親御さんの許可は頂きますが、お二人もお認めになって下さいませんか?お願いします。」


 そう言って、もう一度頭を下げるアンジェリカちゃん。

 そうだなぁ・・・


「・・・龍馬、私は反対、したいところだけど・・・」

「うん、僕たちが口を出す事じゃないね。あの子が自分で決める事だ。」

「あの子あなたに憧れを持っていたでしょ?でも、多分、元から健流の事が好きだったのよ。何度かそう思った事あったから。それで、健流を助ける為に、組織に入ろうと思ったのでしょ?なら、口は出せないわ。というか、出す資格はないわ。私も似たようなものだったし。」


 う〜ん・・・桜花はまたちょっと違う気もするけど・・・でも、そうだね、じゃあ。


「認めるにはいくつかお願いがあるんだけど。」

「なんなりと。」

「もし、彼らが本当に困った事があったり、ピンチになった時は、必ず僕たちに連絡をくれる?助けようと思うから。」

「勿論です!こちらからお願いしたい事でした。」

「それと、今回の事で、灯里ちゃんに酷いことをした奴らの居場所・・・もしくは情報を頂戴?二度とそんな事を出来ないように潰すから。」

「・・・敵の組織は『牙』といいます。国内の組織では大きな方で、構成員も300人をゆうに超えますが・・・」

「問題ないよ。」

「・・・そうですか。」

「終わったら連絡するよ。君も心配だろうしね。」

「ありがとうございます。」

「最後に・・・もし、君たちがあの子達を裏切ったり見捨てたりした場合は・・・」


 そこで、僕は威圧をかける。

 先程の桜花の威圧の数倍だ。


 二人は、固まって震えている。

 ここまでは必要ないのかもしれない。

 でも、僕の知っている子達を守るためだ。

 

「僕が君たちを潰すよ。」


 そう言い放った後、威圧を消すと、二人は机に伏しそうになっていた。

 冷や汗でいっぱいになり、まだ震えは収まっていないようだね。

 ごめんね・・・こんな脅迫みたいな事をして。

 でも、僕たちには、二人は可愛い後輩だ。

 だから、僕が悪者になってでも、手助けしてあげたい。


「・・・き、肝に命じます。」


 アンジェリカちゃんがそう絞り出した。

 さて、これでもう良いかな?


「はい、お願いします。それじゃちょっとまって『パーフェクトヒール』」


 二人を淡い光が包む。

 すると、先程まで強張っていた全身の疲れがとれたのか、マジマジと自分の身体を見ている。


「これは・・・」

「疲れと負傷が消えていきます・・・」

「さて、さっきはごめんね?でも、あれは本心だからお願いね。二人をどうかよろしくお願いします。」


 僕もそう言って頭を下げた。

 

「灯里も健流もちょっとおバカな所もあるけど、いい子なんです。お願いします。」


 桜花もそう言って頭を下げた。

 二人は驚いて動きを止めたけど、すぐに、


「頭を上げて下さい!こちらこそ、お約束は必ず守ります!これからよろしくお願いします!」


そう言って頭を下げた。

 それにしても、こっちの世界もファンタジーだなぁ・・・今度セレスにお願いして、こっちの世界の管理者にも会ってみようかな?


 そうだ!その時はアンジェリカちゃんも連れて行ってあげようっと!



*************************

新作「異能が全てを変えた日」からの出演です。

春休みに助けた女の子の正体はこういう事でした。

アンジェリカが振り回される姿はこちらだけで書こうかなと思っています。


ちなみに、この後のアンジェリカ達の様子は、向こうで書かれています。

龍馬達に相対した二人の反応は・・・

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