第304話 VS神の人形(3) side桜花

 次は私が行くわ!

 

「行くわよ!正面!!」


 私は龍馬から教えて貰ったオリジナル魔法を放つ。


「極大雷魔法!『サンダーブレイク』!!」


 これは、某アニメに触発された龍馬が作った魔法。

 まずは自らに雷を落とし、雷撃を増幅。

 その後は、三方向に雷撃を放つ。


 当然、直撃を受けた人形は粉々になって行く。

 雷撃は、最終的に人形が密集する地点でぶつかり広範囲に散り散りに弾ける。


 不規則な雷撃が人形を貫いていく。

 

 広範囲の人形を倒したけれど、私も雷撃を全てコントロールしている訳ではないので、当然まだ動く個体もいる。

 でも・・・


「桜花さん!ナイス!」

「せぁぁぁぁぁ!!」


 先輩とグレイスが動く個体を駆逐してくれた。

 そして、間髪入れず、


「行きます!!正面方向全て!!後方へ離れて下さい!!」


 リディアから凄まじい冷気が放たれる。

 魔力放出量も凄い!

 流石は魔法の天才ね!


「フォースキャスト!極大氷魔法『ジュデッカ』!!」


 これは龍馬のオリジナル。

 氷魔法の最上位、カイーナ、アンティノラ、トロメアを越える第一位界。

 水、風、闇、そして火のフォースキャスト。

 

 正面広範囲に闇色の風が放たれる。

 結界で防ごうとしても防げない。

 正面側を防いでも巻き込むように風が当たる。

 そして、風が当たった個体は全て体が燃え上がる。

 その炎は蒼い。

 でも、人形が破損している感じはしない。

 

 しかし、徐々に人形は動きを少なくしている。

 その表情には焦りがあるわね。

 そして苦しんだ表情になっていく。

 

 これはリディアから聞いていたんだけど・・・あの炎は、肉体を燃やさず魂を燃やすらしいわ。

 だから、あの人形達のように、魂を入れられているモノにしてみると、初めて感じる痛みなんだと思う。


 そして、徐々に体が凍っていく。

 魂が燃やされていくほど、体が凍結していく。

 どの個体も、苦しんでいる表情のまま固まっていくわ。


 そして・・・数十体の氷像が出来上がる。

 そこにあるのは苦しんだ表情の氷像群。

 全ての氷像はビシビシと音を立てて・・・最後には砕け散った。


 ・・・怖い魔法ね・・・


「はぁ・・・はぁ・・・」


 でも、かなり莫大な魔力を使い、フォースキャストなんて繊細なコントロールをした為、リディアも肩で息をしているわ。

 相当消耗したみたいね。

 でも、後手に回ればあいつらは危険よ。

 どんどん攻めるしか無いの。


 人形たちは、その惨状を見て戦慄して動きを止めている。

 代表の個体も、直後は言葉も無かったが、すぐに、こちらを睨みつけ、


「半数は上から!残りはそのまま突っ込め!あれほどの魔法だ!すぐ様同じようにはいくまい!!最優先で、先程魔法を放った者を殺せ!!」


と叫んだわ。

 怒涛の様に突っ込んでくる人形達。

 まだ、その数は三分の一を減らしただけ。


「おやおや。人形が大分表情豊かになったじゃないか。だが甘いな。私が魔法の深淵を見せてやろう。」


 マリオンさんが腕を高く上げる。


「人形風情が人様より高く上がるんじゃないよ。頭が高い。」


 マリオンさんの身体から膨大な魔力が溢れる。

 先程のリディアと遜色ない位。

 凄いわね。 


「混沌魔法『グラヴィティ』」

 

 マリオンさんが手を振り下ろしながら魔法を発動すると、空を飛んでいた個体が一斉に地面に叩き落とされる。

 地上を進行して来ていた個体は、立ち尽くしたまま動けなくなっているわ。


「この魔法は、フェオから教えて貰った重力という概念から生み出した魔法だ。お前らには今数十倍の重力が伸し掛かっている。動けないだろ。そのまま加重していって押しつぶすのもいいが、対応されると面倒だ。」


 フェオというのは、マリオンさん達、ジードの奥さんが先輩を呼ぶ時のあだ名。

 にしても、重力の概念を理解するのも流石だけど・・・これだけ広範囲に渡って魔法を発動して制御するのは凄いわね・・・


 リディアも、学ぼうとして、魔力の流れを凝視している。


「さて、シルヴァ!わかってるな?」

「おう!まかせろ!!」


 マリオンさんがシルヴァさんの名前を呼ぶ。

 嬉々としたシルヴァさんが魔力とオーラを高めて行く。

 オーラが可視化できる位の密度・・・凄いわ。


「おら!人形共!!魔王が娘の全力!受けて見やがれ!」


 シルヴァさんはそう叫んで飛び上がった。

 ていうか、魔王の娘だったの?

 知らなかったのだけど!?

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