第11章 最後の追い込み

第290話 ジードの奥さん達

 ジードを復活させた次の日から、僕を除くみんなの特訓が始まった。

 ジードは的確にみんなに修行方法を伝えて行く。


 僕は今日は休養だ。

 今無理をして調子を崩しても仕方がないからね。


 みんなに修行方針を伝えてから、ジードは奥さんたちの封印解除にかかった。

 僕は現在それを見学中。

 

 ジードが亜空間・・・おそらくストレージみたいな所から、キューブ状の物を4つ取り出す。

 そして、魔法陣を現出させる。

 ・・・なるほど。

 時空間魔法と、結界魔法を上手く組わせてある。

 僕ではここまで匠に時空間魔法が使えない。

 流石ジードだ。


 ジードが魔力を高める。

 そして、キーとなる魔紋・・・て言うらしいけど、指に魔力を乗せて、空中に記号をいくつか書いていく。


 そして、


「目覚めよ。」


と、言い放つと、凄まじい光が溢れ、光が治まった時には、そこには4人の美女がいた。

 それぞれ、角があったり、獣耳があったり、エルフ耳があったりしてるけど。


「「ジード!!」」「「ジード様!!」」


 女性たちはジードに走り寄る。


「お前達、すまなかったな。」


 ジードは抱き止めようとして両手を広げ、受け入れ体制万全だ。

 女性たちは飛びつき・・・


 そのまま角の女性がジードの顔面にストレートを放った。


「ぶっ!?」

「あんた!何一人で勝手に戦おうとしてんの!残された私達がどんな気持ちだったかわかってんの!?」


 角に白い肌の女性がそう叫んだ。

 そして、次にジードの腹に思いっきり蹴りを打つ褐色の肌でエルフ耳の女性が!


「げほっ!!」

「そうよ!私達を舐めないで!!あんたが死ぬなら私達も一緒に死ぬわよ!!一人で勝手に完結するな!!」


 今度は獣耳の女性がジードの首を締める。


「ぐえっ」

「ジード様!酷いです!あんまりです!!私達が感じた絶望がわかっているのですか!!」


 最後に、人族の女性がジードの脛を蹴り続けている。

 それも身体強化をバリバリに使ってだ。


「がっ!痛!ちょっ!!痛い!!待て!」

「ジード様!少しはこちらの!痛みを!知って下さい!!私達の!心の!痛みは!こんなものでは!!ありません!!反省して下さい!」


 その後もジードはボコボコにされていく。

 ・・・怖い・・・

 僕がガタガタ震えていると、ようやく折檻が終わったのか、4人の女性は額に流れる汗を腕で拭っていた。


 その側にはボロボロになり横たわるジードが。

 魔神をここまでボコボコにするとは・・・恐るべし。


「まあ、無事だった様で良かった・・・ん?お前誰だ?」


 角の女性がこちらを向く。

 

「は、はじめまして!僕は三上龍馬と言います!ジードの弟子です!」

「弟子?はて?知らないわね・・・ちょっとジード!早く起きなさいよ!!説明しなさい!!」


 自分たちでボコボコにしたのに・・・理不尽・・・


「ぐっ・・・だから嫌だったのだ・・・」

「なんか言った?」

「いや、何も言っておらぬぞ。」


 フラフラ立ち上がったジードがボソボソ何かを言うと、角の女性がキッと睨む。

 ジードはすぐにキリッしてそう答えた。


「あ〜実はだな・・・」


 ジードによる説明が行われた。

 それを聞いた女性たちは、みんな歯を食いしばり、何かに耐えてから、僕に向き直った。


「そういう事だったのか・・・さっきは不躾な態度で悪かった。ごめんな。それと、ジードを復活させてくれてありがとな。あたしは魔族のシルヴァって言うんだ。ジードの正妻だ。よろしくな。」

「そうだね。君リョウマくんっていうの?ありがとう。おかげで、また旦那に会えたよ。君のおかげだ。私はダークエルフで同じくジードの妻のマリオンよ。よろしく。」

「あなたのおかげでジード様にまたお会いすることができました。ありがとうございます。私は獣人族のエルです。同じくジード様の妻です。」

「私は人族のフェオドーラ・アバルキナと言います。あなた日本人でしょ?私は召喚された転移者です。転移する前はロシアにいました。今はジード様の妻です。よろしくお願いします。」


 端的に言っていいですか。

 濃い!

 濃いよ!!


 魔族にダークエルフ、獣人族に勇者だって!?

 ジード節操ないな!!


「お主にだけは言われたくないわ!」


 ごもっともです。


「にしても・・・あの子がジード様を殺したのですね・・・ジード様、申しわけありません。幼馴染として謝ります。」


 フェオドーラさんがジードに申しわけなさそう謝る。

 事情を聞いてみると、フェオドーラさんは、ジードを殺した勇者と一緒に召喚されて来たみたい。

 

「気にするなフェオドーラ。あやつに拒否する事は出来なかっただろうしな。それにお前の事を好いておったようにも見えた。恨みもあったのであろう。」


 なるほど・・・そういうのも関係していたのかもね。


「それで、リョウマだっけか?今どんな状況なんだ?」

「はい、それはですね・・・」


 僕が、現状を話すと、シルヴァさんは忌々しげにして、


「あのクソ管理者め!好き放題しやがって!リョウマ!アタシ達も協力するぞ!」


と言ってくれた。

 

 それは助かる。

 見る所、この4人はかなりの実力者だ。

 神の人形と戦う時に、戦力になってくれそう

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