第252話 帝国の最後 side桜花
あれから1ヶ月がたったわ。
あの後、大変だったわね。
とりあえず、軍はほぼ壊滅、主だった重鎮も全て亡くなっていた。
レーナは、他の王子や王女を集めて、事の顛末を語った。
勿論生きていた王も立会させ、全ての悪事を話させた。
リディアさん達の持っていた、通信石というのを使って、セレスティア王国や、ネメ共和国、ネモス小国の、それぞれ王様、女王様や大統領にも繋ぎ、何があったかを話した。
各国の王は、帝国の王に責任の所在を求めたわ。
王は、生き残った、自国の貴族を前に、自分は退き、イヴァース帝国は無くなすと宣言した。
どうやら、今回の件で、完全に心を折られたようだ。
帝国は、ネメ共和国とネモス小国に割譲し、今まで攻め落とした国は、独立を認める事にした。
旧帝国の王都は、ネメ共和国が管理する事になるそうだ。
国民にも触れを出した。
王は、禁忌の勇者召喚を行い、戦争の道具としようと画策し、今まで国民に出していた戦争の報告も、実は帝国の嘘で、実際には攻められたのではなく、攻めこんでいた事も明らかにした。
その結果、女神セレスの使徒の怒りを買い(という事にしたけど、あながち間違ってはいないわね。女神セレスを封印した偽神ヴァイスを知っていて、信仰しているもの)、軍は壊滅させられ、兵はほぼ生存していないことも明らかにした。
民衆は怒り狂った。
新たに作られた教会は全て取り壊された。
そして、王と王族を処刑せよと暴動を起こしたわ。
しかし、これには、他国の王達が待ったをかけた。
王はともかく、王子や王女は詳細を知らなかったから。
だから、その事も明らかにし、処刑は、王のみとなった。
王は、王都の広場で、国民から投石を受け死亡し、その後さらし首となったわ。
それを見ていたレーナは、
「色々ありましたが、それでもお父様が処刑されるのはかなしいわ。」
と、涙を流したわ。
龍馬は・・・まだ、目覚めていない。
どうも、あの姿になるには凄く負担が大きかったみたい。
今は、龍馬が作ったっていう飛行船?に乗って、セレスティア王国にあるホームに戻っている。
実は、私とレーナとアナも一緒に住んでいる。
レーナは、もう帝国を捨てた身なので、あの街に戻るつもりは無いと言っている。
私もそれで良いと思う。
レーナの血縁者も快く送り出してくれた。
アナは、ここの管理人のルーさんと一緒に、管理する側に回っている。
仲良くやっているようで何よりだわ。
ルーさんも、手が増えたことに喜んでいたわね。
それにしても・・・初めてここに来た時の事が、思い出されるわね。
リディアさん達に聞いたここでの暮らし・・・龍馬・・・貴方、全然自重しなかったのね!
私が散々この世界での暮らしに苦労してたってのに・・・下手したら、元の世界よりも快適じゃない!!
なんかムカつくわね・・・
お米もあるし!
不覚にも、お米を食べた時、涙しちゃったわよ!
レーナもかなり驚いていたわ。
レーナ曰く、「ここだけ、未来みたい」ですって。
私もそう思うわ。
この世界の生活水準を考えるとね。
他の国の王族の方々とも会ったわ。
皆さん、帝国の王と違って、凄く接しやすかったわ。
それに、龍馬が仲良くしていたのもわかる。
凄く龍馬の事を心配しているし。
ていうか、仲良すぎじゃない?
特にあの、アネモネ女王と娘さんのガーベラさん。
面と面と向かって、「リョウマさんの女に立候補したいんだけどいいかしら?」って、一国の女王様の言うことじゃないでしょ!?
ディバイド王の側近のウルトさんも、「師匠の女になりたいです!協力して下さい!」って初対面で言う!?
まったくあいつは・・・
でも、ここに来た時、親睦を深めるという名目で、みんなでお風呂入ったのだけど、そこでの話しを思い出す。
『オウカさん。私はリョウマさんの第2夫人になりたいのです。どうかお認めになって下さいませんか?』
リディアさんのそんな言葉から始まった。
既に、自己紹介は済ませている。
私は、既に、予想していた事もあったし、狼狽えることは無かった。
そして、リディアさん達は、私達の世界の一夫一妻制の事も理解していた。
それでも、龍馬を諦めきれないと言う。
元々、拒否していた龍馬に、無理やりゴリ押ししたのも聞いた。
そして、元の世界と行き来出来るようにする計画なんかも。
そして、それは、他の子も同じだった。
私は、ため息をついた。
正直認めたくない。
認めたくないけど・・・私はあの時を見ている。
龍馬を正気に戻す時の事を。
みんな命を掛けて、龍馬を正気に戻そうとしてた。
口だけじゃなくて、行動で見せてくれた。
そんな思いを無下にするのは・・・
それに、みんながいい子だというのは、嫌でもわかった。
文化の違いもわかった。
もう一度ため息をつく。
『すぐにいいわとは言えないわ。まだ、龍馬の意見も聞けてないし。だから、龍馬が起きて、しっかりと話をしてから、回答させてちょうだい。それでもいいかしら?』
『ええ、勿論です。』
そんな事を思い出していると、この家の管理人のルーさんが居間に飛び込んできた。
「皆様!ご主人様が目覚められました!!」
私達はすぐに、龍馬の部屋に向かった。
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