第234話 ツカサとマサオミ
「ツカサ様。一つお聞きしたい事があります。」
「なんだろうか?」
僕はツカサ様に最後の確認をする。
「今、あなたが一番したい事はなんでしょう?」
「・・・もし、叶うのであれば、王竜殿とまた語らいたい。そして、儂を心配しているであろうセレスティア王ともお会いした。だが、今の儂の体力では・・・移動が難しいのでな。」
ああ・・・良かった。
この人はやはり良い人だ。
なら、僕は協力しよう。
「今からするお話を聞かせられるのはツカサ様、あなただけです。内密な話が出来るところはありますか?」
「それならば「またれよ!」」
ツカサ様が答えようとした所に、マサオミさんが割り込んできた。
「ツカサ様ご無礼申しわけありません。しかし、流石にそれは忠臣として口を挟まずにいられません。リョウマ殿、何をお話になるのですかな?私も聞かせて欲しい。」
「話す内容は僕の秘密を少し。これは本当に信頼できる人にしかお話していないことです。申しわけないですがマサオミさんはご遠慮して頂きたい。」
「私はこの国の筆頭家臣であり、王への忠誠も王にはご理解いただいているつもりだ。その私でも信用に値しないと?」
「僕は自分で見て、話して、知った事を信じることにしています。そこには立場なんかは関係ありません。僕はマサオミさんの事を知らないので。」
「であれば、王の事は知っていたと?」
「ツカサ様は先の動乱の際、王竜様への受け答えと、本日の会談の内容で信頼できると判断しました。」
僕の言葉にマサオミさんは黙った。
そして少し考えた後に口を開いた。
「・・・わかりました。おっしゃることも理解できます。ならば仕方がない、というかこちらが止めたとしても、リョウマ殿ならどうにかしてしまうのでしょう?」
「どうとでもなりますね。一番簡単なのは実力で排除しに来ることですね。反撃は基本的に僕は容赦しませんから。手っ取り早い。」
「でしょうな。・・・ならば信頼できると判断した時また声をかけて頂きたい。王の為にも知っておきたい。」
うん。
この人も本当に国の事を考えているからこそ具申したんだろうね。
圧倒的強者に対してもはっきり物を言えるのは僕は好ましく感じる。
それに今の会話からも、誠実さを感じるところだ。
理性的に話ができたしこちらの話にもしっかり耳を傾けているし。
何より僕の許可を取ろうとしたし。
「はい。なら、マサオミさん。今の会話であなたの人となりを、少しですが知ることができました。あなたも一緒に聞いていただいて構いません。」
僕がそう言うと、マサオミさんは目を見開き、その後苦笑した。
「リョウマ殿はなかなか良い性格をされているようだ。しかしそう判断していただいたのは素直に嬉しく思う。是非願いたい。王よ、差し出がましい真似をしました。」
「よい。お主の忠誠を疑ってはおらぬ。儂としてもお主が随行してくれた方がありがたい。」
この二人は本当に良い主従なんだね。
「さて、それでは案内をお願いできますか?」
「こちらだ。他のものは退席して良い。」
僕はマサオミさんの案内で一つ下の階の、隠し扉の部屋に入る。
凄い!隠者屋敷みたいに壁が回った!
中には4帖ほどの和室があった。
防諜は・・・これは魔法だな。
魔道具か。
「リョウマ殿はお気づきになられたようだな。この部屋は初代が作った防音の魔道具が作用しており、話し声は一切外には漏れない。おもう存分話すがよかろう。」
ツカサ様がそう言った。
「わかりました。まず僕の事についてお話しますね。」
こうして、この二人にも僕の秘密についてと、ホームについて、等を話すことにしたんだ。
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