第165話 エルマの事情(1)

 僕はメイちゃんに念話を送り、こちらに皆で来てもらう。

 アリオスさん達はエルマさんを見て驚いていた。

 お互いに挨拶と自己紹介を済ませ本題に入る。


「それで、エルマさんは何故襲われていたのですか?差し支えなければ教えていただけますか?」


 僕がそう言うと、エルマさんは不思議そうにして、


「・・・何故気にされるのでしょう?こう言ってはなんですがどう考えても厄介ごとですよ?」


 そう聞いてきた。

 そんなの決まってるじゃないか。


「だって困ってますよね?エルマさんは襲われていました。今は撃退してそこに転がっていますが、戻れば同じことでしょう?ならなんとかしてあげたいじゃないですか。エルマさん良い人そうだし。そんなの人としてあたりまえのことでしょう?」


 僕がそう言うと、アイシャとメイちゃん、アリオスさんは苦笑していて、イリーナさんとケーラさんとエルマさんは驚いた顔をしていた。

 そんなに変なこと言ったかな?


 僕が小首をかしげていると、


「アイシャさん達が惚れ込むのもわかる気がしますわ。」

「同感です。」


 イリーナさんとケーラさんが微笑んでいた。


「リョウマ。それは確かに人として当たり前のことかもしれない。でも、現実的に命にかかわるほどの厄介事を前にした時に、そんなふうに言える人は極稀なんだよ。だからみんなあんな反応になるのさ。でも、そんな君だからこそ、君の所にみんな集まってくるんだろうね。居心地が良くてさ。」


 アリオスさんが苦笑しながら言う。

 そんなもんだろうか・・・・


「そうなのかな・・・でも僕にとって本当に困っている人を助けるのは当たり前のことなんだよ。勿論悪いことや、あまりにも自業自得なことは積極的に助けようと思わないけどさ。でも周りの流れをのせいで、自分が悪くなくてもどうしようも無くなってしまう事はあるでしょ?そんなの可愛そうじゃないか。」


 僕がそう言うと、みんな呆れたような・・・嬉しそうな顔をして僕を見ていた。

 例えるなら仕方が無い奴だって感じ?

 なんだか納得いかない・・・


 そうしていると、エルマさんが僕に一歩近寄り、


「あなたの事が一つわかりました。では御厚意に甘えて、私の事情をお話させて頂きます。それを聞いて尚、助けて頂けるのであれば、その時は素直に助けて頂こうと思います。そのかわりお礼はしっかりとさせて頂きます。」

「いえいえ、お礼なんかは特には・・・」

「いえ、そう言うわけにはいきません!お礼は私に出来る範囲でさせて頂きます!。必ず!」

「わ・わかりました。」


 あまりの勢いにたじろいでしまった。

 それを見て、アイシャとメイちゃんはため息をついてる・・・なんだろう?


「それではお話致します。私は先に申し上げたとおりエルフ族の巫女をしております。その主な仕事は墓所の管理です。」

「墓所?」

「はい、と言っても本当のお墓と言うわけではありません。魔神の墓所と言われる遺跡の管理です。」


 なんだって!?

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