第128話 リディアの父母との対面(5)
ゼパスさんの注進の後、アルザードさんは最初の頃が嘘みたいに普通に接してくれたので、アイシャ達の事も含めて色々説明する。
すると、リディアの険も取れてきて、笑顔が増えるようになってきた。
「・・・なるほどな。するとリョウマの一番の目的は帰還することになるのか。」
アルザードさんは既に、お前や貴様と呼ばず、名前で呼んでくれるようになっていた。
「そうですね。でも、世話になったジードも助けたいし、理不尽に封印されている女神セレスも助けたいと思ってますよ。それに・・・せっかく繋いだ縁を切っちゃうのもなんだし、行き来できるようになれば最高かなと。」
僕がそう言うと、アルザードさんはニヤリと笑って、
「中々豪気な奴だ。ジラート卿が気に入るだけはあるな。」
ジラードさん曰く、僕とジラートさんは友人らしいからね。
僕もあの人好きだし。
「あなた、そういえばリョウマちゃんの拠点の話が浮いてたけど、あそこの土地はどうかしらぁ?あの宿があったところよ。」
レイチェルさんがふと思い出したようにそう言う。
アルザードさんもそれに答えるように、
「ああ、あの潰れた宿地か。少し郊外にはあるが、広さは申し分ないな。冒険者ギルドはそこまで離れてはいなかったな。我が家からは少し遠いが・・・馬車ならすぐだしな。建物は修繕が必要かもしれんが良いかもしれん。」
「良い考えかと思います。あの土地は正直メイビス家としても持て余していたものでございます。有効的に活用するのであれば是非もありません。」
ゼパスさんもアルザードさんの考えに賛成したようだ。
ふむふむどんな所なんだろう?
詳しく聞いてみると、以前貴族の保養目的で作られた宿なんだけど、運悪く悪徳貴族に詐欺に遭って潰れちゃったみたい。
その悪徳貴族は処断されたらしいんだけど、一度ケチがついた所で再度商売をする人がおらず、そのまま売地になっていたからメイビス家で購入したんだって。
今は建物はボロボロらしいけど、敷地の広さは体育館2つ分位あるんだって。
めちゃくちゃ広くない?
それにそこまで面倒かけるわけにもなぁ・・・
「いや、申し訳ないですよ。」
僕がそう言うと、アルザードさんは、
「気にするな。先程の詫びだと思えばいい。気にするなら安くするから冒険者として金を稼いで少しづつ返してくれればかまわん。どうせもともと買い手がつかず困っていたのを支援目的で購入したものだしな。」
と笑いながら言った。
それなら・・・・まあ、
「ありがとうございます。お金は必ず支払いますのでお願いします。」
決断しちゃってもいいね。
「とはいえ、建物はきれいにする必要がある。大工はこちらで手配するか?」
「いえ、それは大丈夫です。敷地だけあれば。」
「・・・まさか野宿するのか?」
「それこそまさかですよ。ちょっと良いもの持ってましてね。」
ふふふ・・・びっくりするだろうな。
ジードの指導で修行の一貫として作ったんだけど・・・これ作るの大変だったなぁ・・・
でもみんなの驚き顔は見ものかも。
みんなのはてな顔を見て一人ニヤニヤしていると、事件は起こったんだ。
「失礼する!!父上!!どういう事だ!!話が違うだろう!!俺に全てを任せて貰うことになっていたはずだ!!撤回するとはどういう事だ!!」
一人の青年が書斎に飛び込んできた。
何やら面倒ごとの匂いが・・・
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