第122話 アルメスに到着した夜 sideリディア(5)
「そうそう、私とグレイスは、リョウマさんを伴侶とする予定でいますのでご承知おき下さいね?」
「何!?そんなの許さんぞ!!」
お父様が激昂した。
「お父様の許しなど要りません。認めないのであれば私はメイビスを出るだけです。」
「なんだと!?しかしだな、貴族には貴族の・・・」
「お父様、先程の私の言葉を聞いておられましたか?私は既に場合によってはメイビスを出ても良いと思っています。貴族だなんだというのは今の私にとっては、利用できる、という位のものです。正直、お父様やお母様、使用人の皆さんがいなければすぐ出奔しても良いと思えるくらいに。足を引っ張るようであれば遠慮なく切り捨てます。」
そう言い切ると、お父様は愕然としていました。
そんなお父様を横目に、お母様が感心したように、
「リディアちゃんは、もうかなり覚悟を決めちゃってるのねぇ。グレイスちゃんもかしら?」
「はい、私もです。リョウマは私の理想の男性そのものです。実力、性格、困っている者を助けずにはいられない心根、その容姿もいまでは愛おしく思えます。」
と言いましたが、グレイスの言葉に驚いていました。
「あらあら・・・あのグレイスちゃんがそこまで言うなんてねぇ・・・二人共もう婚姻まで話が進んでいるのかしら?リディアちゃんが第一夫人になるの?」
「おい!?何を言っているのだ!?」
「だって、家を出るとまで言っているのですよ?もうどうしようもないでしょう?それとも力づくで止めますか?私はやりませんよ〜。どう考えても勝てませんから。」
「ぐっ・・・」
笑顔でそう言うお母様の言葉に、お父様が歯噛みしています。
「それに、二人が好きになった人でしょう?だったら娘の思いを尊重してあげるのも親の役目だと私は思うのですよねぇ。それで、リディアちゃんが第一夫人になるのかしら?」
「いえ、リョウマさんには元の世界にお付き合いしている人がいらっしゃいます。私とグレイスは、その方に許可を頂いてから正式な婚姻関係となるでしょう。」
リョウマさんの世界が一夫一妻というのは内緒です。
「あらそうなの・・・そうすると、四人での生活となるのかしら?」
「いえ、後、他にも同じ状態の方がいます。テロア家のシエイラさんと、冒険者仲間の獣人姉妹であるアイシャさんとメイちゃん、もしかするともっと増えるかもしれませんね。」
「な・・・そんな女狂いに娘をやれるか!!私は絶対に許さんぞ!!」
「お父様、何度も同じことを言わせないで下さい。許可は入りません。それに、正直なところをお話すると、私達が強引に話を勧めているのです。リョウマさんはどちらかと言えば拒否をしていますから。ですが、私はあの方と決めたのです。絶対に逃しません。邪魔するのがお父様なら・・・」
そう言って言葉を切り、お父様を見た後目を細めて、
「排除するだけです。」
私の覚悟を話しました。
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