第120話 アルメスに到着した夜 sideリディア(3)
私は魔力を全開にしました。
「っ!?」
「むぉ!?」
「・・つ!?」
お母様、お父様、ゼパスが驚愕の目で見てきます。
若干冷や汗も出ているようです。
それはそうでしょうね。
私の魔力量は今や、お母様をも上回っていますから。
「グレイス、あなたも今の力をお父様達に示してあげてくださる?お父様達はどうも真面目に取り合ってくださらないみたいなので。」
「御意」
そしてグレイスも全力で威圧しました。
「「「!!!???」」」
先程のお父様など、比較にできないほどの圧力が、書斎を覆います。
それは、以前には無かった、五剣姫を超えた今のグレイスの等身大の力。
お父様達は若干腰が引けています。
それでも逃げ出さないのは、流石はかつての雄と言えるでしょう。
今の私達は、バルムスでの戦いの時の力すら大きく上回っていますから。
今ならば、あの時の魔狂薬を飲んだ彼らを、私一人で倒し切ることが出来るでしょう。
「お父様、お母様、お考えは変わりませんか?それともおしおきされますか?ちなみにご返答次第では、私はメイビスに見切りをつけて出ていく覚悟もしています。」
そう言うと、お父様とお母様は、絞り出すように、
「・・・一体何があったというのだ。二人共、短期間でこれほど力を向上させるとは・・・」
「・・そうねぇ。驚いちゃったわ・・・ねぇリディアちゃん、グレイスちゃん、あなた達が真剣なのはわかったからちょっと弱めてくれないかしら。お母さん、もうきつくって。」
そう言ったので、私もグレイスも魔力と威圧を消します。
三人はため息をつきながら、汗を拭っていました。
「お前の覚悟はわかった。他言無用も約束しよう。二人もそれで良いな?」
「ええ。」
「はい。」
お父様達はようやく納得してくれたようです。
良かった・・・家族を捨てずに済みました。
私もホッとします。
私はお父様もお母様もゼパスも使用人のみなさんも大好きです。
できれば一緒にいたいと思っています。
もっとも一人だけ嫌いな人もいますが・・・
でも、先程の言葉に嘘はありません。
これでもお父様達が、無理を通そうという姿勢を崩さなければ、私は家を出ていました。
覚悟は既に、リョウマさんに思いを告げた時に決めているのですから。
「わかりました。ならば今の言葉を、女神セレス様に誓って下さい。」
セレス様に誓う、それは、人族であれば絶対に反故にできない魂の誓いのようなものです。
「女神セレスに誓おう。他言無用であると。」
「同じく女神セレス様に誓います。」
「女神セレス様にお誓い致します。」
三人がそう誓いました。
「それでは、お話し致します。私達に何があったのか、世界の真実、今どのような状況になっているのか・・・そして、それを打破し得る方の事を。」
こうして私は話し始めました。
リョウマさんに出会ってからの全てを。
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