閑話 シエイラ・テロア sideシエイラ(4)
翌日、朝食の時に、リョウマ様と居合わせました。
私が先に席についていると、リョウマ様がいらしたのです。
リディア様とグレイス様はまだ来られていません。
簡単に挨拶を済ませると、リョウマ様が、私の態度や話方が堅いと仰られます。
貴族としては当たり前の話し方ですが・・・うん!もっと仲良くなるためです。
話し方は身についてしまっているので難しいですが、名前だけでも様付けではなく「さん」とお呼びしましょう!
そうして「リョウマさん」とお呼びすると、リョウマさんは嬉しそうにしていました。
なんだか私も嬉しくなってしまいます。
今まで、身近にいたのは家の権威や貴族としてのプライドばかり持ちあわせた方々ばかりだったので、リョウマさんとの会話はとても新鮮です。
多分、こういうところに、リディア様とグレイス様は惹かれているのではないでしょうか。
お二人を見ていると、リョウマさんに好意的なのがよくわかりますし。
そうしていると、お二方とお父様が来られたので、食事を開始しました。
本日の予定についてお父様がリディア様に尋ねられたところ、街を私と一緒に見に行きたいとの事でした。
私にとっても嬉しい申し出でしたので、すぐさま了承いたします。
そして、楽しい一日が始まりました・・・あれを聞かされるまでは。
それは、見晴台での事です。
リョウマさんが突然魔法を使われました。
音を遮断する魔法との事です。
リディア様が、凄く他言無用と念を押されるので、重大な話をされるとわかりました。
聞いた内容は、この領に関することでした。
最初は既知の事でしたが・・・それにお父様が関わっていると告げられました。
私のお父様はとても厳格で聡明な方です。
いくらリディア様でもお父様を悪く言われるのは許せません!!
そう思っていたのですが・・・続けてリョウマさんから話を聞かされて、とても大きなショックを受けました。
お父様が誰かに操られ、悪事に加担させられている・・・
あまりのショックに涙が溢れそうになりました。
なんとか耐えようとしていたのですが、リョウマさんが、
「シエイラさん。大丈夫!必ず僕がなんとかするから!。こうみえて、僕そこそこ強いし、色々できるんだよ。だから元気出して。」
と言って、頭を撫でてくれました。
慰めてくれているとすぐにわかりました。
私は耐えきれなくなり、リョウマさんに抱きついて泣きながら、お父様を助けて欲しいと懇願してしましました。
今思えば大胆な事をしたと思います。
しかし、その不安はすぐに吹き飛びました。
「まかせてよ!」
そう言ったリョウマさんの力強い笑顔を見た瞬間、胸が高鳴るのと不安が消え去って行くのを覚えました。
離れたくない・・・そう思ってぽーっとしていると、リディア様とグレイス様が、すごい剣幕でリョウマさんを怒っています。
ああ・・・やっぱりお二方もリョウマさんを好きなのですね。
嫉妬しているお二方を見ていて気づきました。
・・・これが恋なのですね。
私は、生まれて初めて恋をしたのです。
でも、どうやら、ライバルは多いようですね。
お二方は強敵ですが・・・負けません!
今後の動きを打ち合わせしながら、胸に誓います。
お父様、きっとあなたはリョウマさんが助けて下さいます。
ですから、全てが終わったら私の胸に宿った恋心も、話して差し上げますからしっかりと聞いて下さいね。
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