第46話 ジラート伯爵との対決(4)


 ここは見晴台の最上階。


 護衛は、通路に置いて、展望室には僕たちだけ。


 予想通りごねたけど、シエイラさんの強い要望と、グレイスの言った、


「私が護衛だということに、不服があるのであれば、私より強いの事を示せ。喜んで変わろう。」


という、殺気混じりの提案(脅迫)で、顔を青くしながらの快い(?)了承を得た。


 さあ、ここからが第二段階!


 さて、気配察知では、護衛は扉に耳をつけて、盗み聞きしようとしているね。


 『サイレントフィールド』


 まずは遮音と。

    

 いきなり魔法を使用した僕を見て、シエイラさんは首を傾げている。


「リョウマさん。いかがされました?」

  

 そう聞いてきたシエイラさんに、リディアは、


「今のは、リョウマさんの防音の魔法です。事情があって使用していただきました。」


 そう言って、シエイラさんに向き直った。


「まずは、シエイラさん。ごめんなさい。私達はあなたに謝罪しなければなりません。そして、これから話すことを他言無用にできますか?」


と、問いかけた。


 シエイラさんは、


「・・・よくわかりませんが、リディア様の仰ることですので、他言しないことをお約束します。」


「では、心してお聞き下さい。シエイラさんは、私の家の裏事情についての噂を、聞いたことがありますか?」


「・・・はい。悪徳貴族や商会、組織等を、裏から取り締まる立場だというものですね?」


「ええ。その噂は概ね真実です。実は、今回メイビスに伺ったのもその一環なのです。シエイラさんが学友であることを利用しました。謝罪はその事です。勿論、仲の良くしていただける、シエイラさんとお会いするのが、楽しみであったことに嘘はありませんが。」

  

 そう、リディアが申し訳無さそうに言うと、シエイラさんは最初、驚いた顔をしてたけど、にっこり笑って、


「王国の為なのであれば、その程度の事に、謝罪は必要ありませんよ。私もお会いしたかったですし。」


と言った。


 う〜ん・・・最初こそきつい感じだったけど、この娘やっぱりええ娘や・・・


 やっぱりこの娘のお父さんは無事助けてあげたい・・・いや、助けなきゃいけない、だな。


 僕は、シエイラさんの嘘、偽りがなさそうな笑顔を眺めながら、そう決意したんだ。

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