（本編完結済）勇者ではありませんただの迷子です

第４３話 ジラート伯爵との対決（１）

　伯爵は、ゾルドの商会を出た後、寄り道をせずに屋敷に帰宅した。

　僕も、自分にあてがわれた部屋に滑り込むと、まず、結界の状態を確認したんだけど、特に異常は感じられなかった。

　一安心して寝る準備を始める。

　さて、考えることは、どう伯爵の精神操作を消すか、だな。

　方法はいろいろあるけど、精神操作されているということは、基本的には、敵側の思考ではないということだろう。

　もし、相手の考えに賛同するような人格なら、わざわざ操作しなくても、一緒に協力できるだろうしね。

　個人的には、シエイラさんのお父さんが、ゾルドみたいなゲス野郎じゃなくて良かったけど・・・これで、これで余計に無駄に傷を負わせられないなあ。

　下手に傷つけたら、シエイラさんが可愛そうだからね。

　それに、精神操作さえ消せば、こちらの味方に引き込める可能性が高いと思

う。

　そうなると、極力、障害が残るような解き方をすべきじゃない。

　なら、考えるべきは、精神操作の方法だな。

　ジードから教えて貰ったことから考えると・・・多分、魔法が付与された装飾品着用による精神操作だろうな。

　直接魔法で操作されていれば、不自然な魔力の流れを感じられるから、今の僕なら多分わかるし。

　もし、この考えが正しければ・・・

　よし、方針は決まった。

　狙うタイミングは、薬を盛ろうとする時かな。

　後は、起きてから二人と相談・・・とシエイラさんへの説明かな。

　可能であれば、シエイラさんにも協力して貰おう。

　その方が、伯爵の油断や動揺を誘えそうだ　　　

　伯爵を元に戻したら・・・次はゾルド。

　お前には慈悲は無い。

　徹底的にやってやる。

　せいぜい今のうちに、自由を謳歌してるといい。

　女の子に酷いことをしようとする奴に、僕は容赦するつもりはない。

　そうして、僕はベッドに入って休むのだった。

　おやすみなさい。