第21話 領主との会談~娘を添えて~ (2)



 執務室に着くと、ソファに腰掛けるよう言われた。

 

 並びは、正面に伯爵とシェイラさん。


 対面する形にリディアがつく。


 グレイスと僕はその後ろに直立。

 

 まあしょうがないよね。

 

 メイドさんが入室して、紅茶とお菓子を置いていく。


 勿論、僕たちの分は無い。

 

 残念。


「それで・・・一体何があったのでしょう?」


「それでは、王都を出たところからお話します。」

 

 リディアは語った。

 

 王都を出たところ

 

 途中盗賊「赤月」から襲撃を受けたこと

 

 護衛が皆殺しにされたこと

 

 グレイスとリディアが、自害をしようとしたところで、僕と出会ったこと


「なるほど・・・そんなことが・・・とするとそこの彼が・・」


「はい。冒険者のリョウマと言います。彼は無名ですが、とても強いです。赤月の頭目を圧倒するほど。リョウマさん、挨拶をお願いできますか?」

 

 そう言って、二人がこちらを見る。

 え?挨拶必要なの?


「・・・お初にお目にかかります。龍馬と申します。何分、粗忽者ですので、言葉使いとマナーにはご容赦を。」

 

 こんな感じでいいかなあ。

 緊張するよ。


「ほう・・・見るだけではそうは見えないが、リディア様が嘘をおっしゃるわけがない。よくぞリディア様を守ってくれた。」

 

 そう僕を見て話す。

 

 目と目が合うけど・・・優しそうな笑顔なのに、目の奥が少し・・・濁っている?

 

 でも言葉に偽りはなさそうに思う。

 

 なんかあるなこれ。

 ちぐはぐな感じ。

 あとでリディアに相談するか・・・


「いえいえ、できることをしただけですよ。」

 

 そう謙遜しておく。


「お父様。リディア様がおっしゃるには、リョウマ様は、グレイス様よりも、お強いそうですよ。」

 

 シェイラさんがそう言うと、伯爵は目を見開き、


「本当か?それは凄い。グレイス殿、真実なのでしょうか?」

 

 と伯爵はグレイスに向き直った。


「本当です。私は、リョウマと戦っても、勝てるビジョンが浮かびません。」


「・・・5剣姫の一人に、そこまで言わしめるとはな。にわかには信じ難いが・・・真実なのだろう。」


 そう言って無言になる。

 何か考えているようだ。


「リョウマ殿とお呼びしても?」


「龍馬で構いませんよ。先ほど申し上げたとおり、私は、所詮平民な上若輩者です。口調も普通にしていただいて良いです。」

 

 僕がそういうと、伯爵はにやりと笑い、


「ではそうしよう。リョウマ、君も口調を普通にしてもらって良いぞ。苦手なのだろう?不自然だ。」

 

 と言う。

 バレてる。

 

 ・・・でもやっぱりおかしい。

 こんな人格の人が、目に、あんな濁りがあるとは思えない。

 この人多分・・・いやそれは後の話だね。


「わかった。失礼には目を瞑ってくださいね。」


「勿論だ。少し君に質問があるのだがいいかね?


 伯爵はそう言った。

 なんだろうね?

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