第16話 バルムス(1)

「へ~これがバルムスか。結構大きい?」

 

 バルムスの街は二人の話だとそこそこ大きいらしい。


 一応は商業都市のようで、出入りは普段から激しいらしい。

 

 今も、門から結構な列が出来ているけど、これ全部入場待ち?長いなあ・・・

 

「私たちはそちらからは行きませんよ。貴族用の門から入ります。」

 

 リディアがそう言って進行方向を指差すと、列から少しずれたところにも門が見える。

 

 警備も厳重に見えるなあ。


 グレイスがそのままそちらの門に馬車を走らせていくと、衛士と思われる人たちが馬車を囲んできた。

 

「そこの馬車止まれ!中をあらためさせて貰う!ドアを開けてもらおう!」

 

 と言ってきた。


 すると、グレイスが懐から何かの紋章がついたネックレスを取り出し、衛士に対し、

 

「我々は馬車に刻印にあるとおりメイビス家の者だ。これが証明の紋章である。門を開けられたい」


 と説明する。


 だが衛士たちは

 

「嘘をつけ!何故公爵家のものが護衛もつけずにここまで来るのか!素直にドアを開けよ!!」

 

 と怒鳴りながら威嚇してくる。

 

 こいつアホか?もし本当だったらどう責任とるつもりなんだろう?僕がそう思っていると、衛士たちはさらに

 

「にしてもこいついい女だな・・・へへ、ちょっと衛士室まで来て詳しく話を聴こうか。何、素直になってくれたらちょっといい思いするぐらいで済むぜ!おい!こいつらを衛士室に連れて行け!」

 

 とニヤニヤしながらまわりの衛士達に話している。

 

 僕は内心ちょっとムカムカしていたので、馬鹿どもに指さしながらグレイスに

 

「こいつらの言うこと聞くのか?」

 

 と問うと、グレイスは青筋を立てながら

 

「その必要はない。リョーマはちょっと姫様を守っていてくれ。」


 お?グレイスの実力が拝めそうですな。

 

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