D.E.A.D. ~愛する人を失った男は、悪神が宿る魔剣を手に、人間を止めてでも世界に復讐する~

剣 道也

プロローグ

プロローグ

 死んだ人間を生き返らせたい。


 それは果たして、是とされる願いなのだろうか。

 それとも、否定されるべき呪いなのだろうか。


 死者の復活の是非については、倫理の観点から様々な論争が巻き起こるだろう。

 だがしかし、いくら言葉で語ろうが、このふざけた世界では死んだ人間を生き返らせることなんて不可能だというのが実情だ。


 ああ神様、あんたはなんでこんな世界を作ったんだ。

 人を殺すことは簡単なのに、人を生き返らせることはなんて難しいんだ。


 俺は復讐者だ。

 この村への復讐は終わった。


 次は、世界への復讐だ。

 見てろよ神様。あんたが作ったふざけたルールに復讐してやる。

 俺は、俺は──


「──絶対にルミスを生き返らせてやる」


 感情に身を任せ、ふと口から言葉がこぼれてしまう。


『えぇ、嬉しいわバアル。私、その時までゆっくりと待っているわね』


 自分の言葉に反応があることが、こんなにも嬉しいものだとは思わなかった。

 俺は世界で一番不幸だと思っていたが……この奇跡にだけは感謝しよう。


「あぁ、待ってろルミス。絶対に……絶対にお前を生き返らせて──」


 俺は左手で抱えた生首に返事をする。

 死後硬直しており、ルミスの表情は悲痛そのものではあるが、魂から聞こえてくる声はそよ風のように心地いい。


 炎と血で真っ赤に染まった世界の中で、唯一ルミスだけは俺を癒してくれる。


「──ルミス、お前を幸せにしてやる!」


 あてなどない。

 だが力はある。


 二本の魔剣を手に、俺は死者ルミスの復活を目指して歩き出した。

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