第3話


 悪魔――。


 まあ、要するに、悪い存在。悪魔でなければいい存在……とは断言できないが、少なくとも、悪魔はいい存在ではない。

 世界各国、どんな宗教でも、呼び名や形はどうあれ、「悪魔」的な存在は常に論じられ、受け継がれてきた。

 もちろん、住処は地獄。あるいは、それに準ずる何か。

 なので、悪魔が地上にいることは、基本的には許されない。

 基本的には――。


「で、あるからして、ロナウドが左サイドでボールを持った時、ラムジーは

ディバラの動きを見て……」


「「「「ふむふむ」」」」


 で、あるからして、悪魔という存在は、地上の、しかも、人間の家にホワイトボードを置いて、TVにDAZNを繋いで、ハーフタイムにユベントスの試合の解説をしてはいけないのである。

 聴衆の「ふむふむ」も禁止だ。

 それも、あどけない幼女の姿をして。しかも、五人。いや、五匹。


「はあ……」


 俺はため息をついた。


 10分で出て行くと約束したあの日から、すでに一週間が経過しようとしていた。

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