あの日あの時こいつに出会わなければ。

満月凪

序章

 俺は夏紀戒なつきかい。今は某国立大学の四年生だ。生まれつき霊感が強くて、色々と苦労が絶えない人生を送っている。ああ、でもこの能力ちからのお陰で仕事が決まったんだ。ある意味良かったんだと思う。欲を言うなら、普通の企業に就職したかったな、とは思わないでもないがな。それもこれも、全部あいつのせい。

 あの日、あの時、あいつと出会わなければ。もしかしたら俺はもっとずっと、平穏で平凡な、つまらなくもある人生を歩んでいたんだと思う。

 さて。長い前置きはここまでにしておこう。これから話すのは、俺と…年下ではあるが、俺の師匠との話をしていこうと思う。よければ、飽きずに聞いて欲しい。俺はこの話を、誰かに聞いてもらいたくて仕方がないからな。

 そんじゃまぁ。始まり、始まり。

 

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