第148話 それでも私は母が好きだった

「夫はその時ね……」と嬉しそうに笑う母。年を取り施設で暮らすようになった母は、ここで穏やかな日々を送っている。私が娘だと分からなくなってから、母は私を話し相手にして昔話をする。だが、最期まで母は私の話を口にすることはなかった。恨んでいたのだろう。わがままで父を死に追いやった私を。

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